円安で飼料高騰 県酪農、離農助長を危惧


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 円安による飼料価格の急激な値上がりで、県内酪農農家の経営が苦境に立たされている。県酪農農業協同組合(新里重夫組合長)によると、6月の乳用牛飼料価格のキロ単価は、前年度平均より9・2円高い69・4円となり、過去10年で最高額に達した。飼料代は生産原価の4~5割を占めるため、農家にとっては重い負担だ。同組合によると、2013年度に入り乳業メーカーへの引き渡し価格が、生産原価を割り込む状況が続く。同組合ではこの状況が続けば廃業せざるを得ない農家も出てくると危惧している。

 乳用牛は、配合飼料と牧草などの粗飼料を半分ずつ混合した餌を1日10キロほど消費する。6月の配合飼料価格は前年度平均と比べて10・2%増の66・8円、牧草などの粗飼料も21・5%増の72・0円となった。
 同組合によると、飼料高騰に農家は、子牛や乳を搾り終えた牛を肉用牛として売ることで、生活をしのいでいる状況だという。
 同組合は現在、県内の大手乳業メーカーと買い入れ価格の引き上げを交渉している。新里組合長は「メーカーも量販店に卸すので、買い入れ価格の引き上げは厳しいと思うが、もう価格転嫁しないと生産者はもたない。消費者にも現状を分かってほしい」と訴えた。
(長嶺真輝)

飼料価格の高騰による販売価格への転嫁について「消費者理解が必要」と主張する県酪農農業協同組合の新里重夫組合長=14日、八重瀬町内の牛舎