當山紀念館 存続を 住民ら町長に3800人署名提出


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 【金武】移民の父・當山久三の功績を記念して戦前に造られ、金武町役場隣の丘に建つ「當山紀念館」が役場庁舎拡張に伴い、解体が計画されることに対し、住民でつくる「當山紀念館を存続させる会」(与那城剛代表)の11人が13日、同町役場を訪れ、儀武剛町長に保存を申し入れた。

住民3800人余の署名を提出し、移民史・建築史上の価値を訴えた。儀武町長は「署名の重さを真剣に受け止め、対応したい」と述べた。
 申し入れで与那城代表は、紀念館が海外雄飛を提唱した當山の精神を示すものであり、建物自体も初期鉄筋コンクリート構造建築の端緒であるとして「歴史的意義、建築学史的意義においても後世に残す責務を忘れてはならない」と強調した。
 儀武町長は現庁舎で窓口が分散しているため、住民の利便性向上に庁舎拡張が必要と理解を求めつつ、紀念館の文化財的価値を精査している状況を説明した。
 當山紀念館は1935年に完成し、戦前は移民教育施設に活用された。戦後は教育委員会庁舎などに99年まで使われた。老朽化して一部補修し、7月に期間限定で公開された。紀念館前に當山久三の像もあり、一帯は「雄飛の森」として移民関係の式典も行われる。
 金武町議会は6月定例会で解体を前提とする整備費の予算を可決していた。同町文化財保護審議会は教育長から諮問を受け、ことし2月に「現地保存し、郷土学習の場として、海外雄飛の里を発信する場として活用」するよう答申していた。

解体が計画される當山紀念館(後方)と當山久三の像
當山紀念館存続を求め、儀武剛町長(左)に3800人余の署名を手渡す与那城剛代表=13日、金武町役場