傷だらけの心表現 環バレエ


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「みにくいあひるの子 現代版」で子どもたちを取り巻く環境を描く出演者=11日、沖縄市民会館大ホール

 環バレエアートスタジオの第19回発表会「dadadada DANCE NAVIGATION」が11日、沖縄市民会館であった。

いじめを題材とした創作「みにくいあひるの子 現代版~Ugly Duck~」は子どもたちを取り巻く環境の厳しさを描き、解決の糸口を少女ネイロ(金城音色)の優しい舞で示唆した。
 同作品は第2回発表会で初演され、今回は現代の子どもたちの状況を反映して改作した。病床のネイロが見た光景は、お友達ハル(松本晴子)と駆け回る病室の外の世界。しかしそこには弱者と強者の思惑が交錯する厳しい現実があった。
 「破れた心」「折れた翼」の章など、子どもたちの間でいじめが巻き起こる場面はモップやバケツなどの小道具を使い、生徒たちが嵐のように激しく舞って一人の少女を取り囲む。
 暗い舞台上で地を這い、けいれんするような動きで傷だらけの心を表現する出演者。ネイロは嵐のような舞の中でハルと再会し、優しく舞う。身近な人との関係性を見詰め直すことの大切さをにじませる。天使たちの祈りに包まれ、幕を下ろした。
 バレエ組曲「ライモンダ」のデヴェルティスマンには上級クラスの生徒らが出演し、「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」の「リーズの結婚」抜粋は子どもたちが出演。ジャズダンス「WALTZ FOR DEBBY~僕らの町~」は変化に富んだ演出で踊り、来場者の拍手に包まれた。