しまくとぅば使う県民 県が10年で3割増目標に普及計画


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しまくとぅば普及推進計画のイメージ

 危機的状況にあるしまくとぅば(琉球諸語)を次世代に継承しようと、県文化振興課は20日までに「しまくとぅば普及推進計画」案をまとめ、ホームページで公開した。現在実施中の県民意識調査で「しまくとぅばを使う県民」の割合を今後明らかにする。

その調査で得られた2013年度の数値(%)と比べ、16年度に3ポイント、19年度に12ポイント、22年度に30ポイント増やすことを目指す。県民的な普及運動を進め、3年ごとの意識調査で事業効果を検証する。
 県民大会を開く9月18日までに県民意識調査の速報値をまとめ、それを盛り込んだ正式な計画を大会で発表する。
 調査では、しまくとぅばがどの程度分かるか、普及のために何をすべきかなどを質問している。会話する際にどの程度しまくとぅばを使うかという設問で(1)主に使う(2)共通語と同じぐらい使う(3)あいさつ程度使う-と回答した人の合計を「しまくとぅばを使う県民」と定義する。例えば、13年度調査で県民の30%がしまくとぅばを使うとの結果が出た場合、22年度には60%に増えるよう目指す。
 計画では今後10年間を、しまくとぅばに親しみを持たせる前期(13~15年度)、各地域に運動を波及させる中期(16~18年度)、しまくとぅばを積極的に使用する後期(19~22年度)と設定した。
 前期行動計画では、普及に向けて各団体などに協力してもらう取り組みを示した。県は普及運動事務局として県民大会開催や県民宣言採択に取り組むほか、交通機関でのしまくとぅば使用などを励行する。学校現場では、総合学習や国語などでしまくとぅばを学ぶ機会を設ける。
 研究者には運動への助言を求め、企業やマスメディアにしまくとぅば使用を働き掛ける。県民には親子で講座などに参加し、家庭で実践するよう呼び掛ける。
 県文化振興課はホームページで、計画案に対する意見を募集している。
 しまくとぅばをめぐっては、県議会が2006年に毎年9月18日を「しまくとぅばの日」とする条例を制定した。09年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)は沖縄語、宮古語、八重山語などを消滅の危機にひんする言語に指定した。(伊佐尚記)
英文へ→Okinawa plans to increase Shimakutuba users 30% in 10 years