慶良間国立公園 環境省、沿岸7キロを指定区域に


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慶良間諸島国立公園区域案

 環境省は21日、本年度中に新設する「慶良間諸島国立公園」の指定区域案を発表した。渡嘉敷や座間味など約30の島々と、ザトウクジラの繁殖地であることを重視して諸島沿岸7キロまでの海域を含む。

同省によると、海域を指定する際は沿岸1キロの事例が多く、異例という。透明度の高い海に高密度に生息する貴重なサンゴ礁、多島海と砂浜の多様な景観を保全する。
 今後は観光産業やエコツーリズムとの相乗効果による地域活性化が期待されている。
 約250種のサンゴが生息することで知られる同諸島は現在「沖縄海岸国定公園」となっており、区域を拡大して国立公園に格上げする。
 今回の案では陸域約3500ヘクタール、海域約9万500ヘクタールで、面積は従来の5・5倍に増える。
 海域のうち、サンゴ礁が高密度で生息する場所は水深30メートルまでの海底も含めて「海域公園地区」(8290ヘクタール)に指定し、商業的なサンゴ漁が規制される。同地区では、学術研究のため海洋資源を持ち帰るのに許可が必要となる。
 国立公園の区域になると、開発行為が規制される。陸域で最も厳格なのは「特別保護地区」で、草木の持ち帰りも禁止される。今回は天然記念物の生息地など305ヘクタールを選んだ。
 渡嘉敷、座間味の両村にオニヒトデによる食害からサンゴ礁を守るための自然再生施設、観光客が楽しめる博物展示施設や展望施設、歩道などの設置計画も盛り込んだ。
 環境省は12月にも有識者からなる中央環境審議会に諮問し、答申を得る。実現すれば31番目の国立公園となる。
 同省は22日から9月20日まで、国立公園指定に向けた意見公募(パブリックコメント)を実施する。詳細は環境省か同省那覇自然環境事務所のホームページで22日午後4時以降、閲覧できる。詳しくはhttp://www.env.go.jp/