2米兵書類送検 長崎で女性暴行容疑、身柄要求せず


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 米海軍佐世保基地(長崎県)に所属する米兵2人がことし5月に基地外の民間地で日本人女性に性的暴行を加えたとして、長崎県警が女性暴行容疑で2人を書類送検していたことが26日、分かった。

2人の身柄は佐世保基地内にあり、逮捕しないまま任意で事情を聴いていた。十分な捜査を尽くせず不起訴か起訴猶予となる可能性もある。
 長崎県警は本紙の取材に当初「米側に身柄の引き渡しを求めていない」としたが、その後「報道機関には一貫して、この事件に関してコメントを差し控えている」と述べた。
 日米地位協定は、米側に容疑者の身柄がある場合、起訴まで米側で拘禁することを規定している。だが1995年に殺人と女性暴行の容疑者の起訴前身柄引き渡し要求に米側が「好意的考慮を払う」ことで合意した。
 2米兵の送検容疑は、5月14日、基地外の民間住宅で日本人女性1人を乱暴した疑い。事件は、女性が佐世保基地側に相談したことから発覚した。女性が被害を届け出たため、佐世保署が任意の事情聴取を続けていた。2米兵は県内にも頻繁に寄港する強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」の乗組員。在日米海軍は、本紙の取材に対して、米兵2人の身柄は佐世保基地内にあるとし、事件後はボノム・リシャールには乗船せずずっと基地内にいると説明した。今後の対応については「日本の捜査機関の要請があれば今後も協力していきたい」と述べた。
 一方、ことし1月の本紙取材で、在日米軍関係者による女性暴行について、96年以降摘発された米兵35人中、8割強の30人が逮捕されず不拘束で事件処理されたことが判明しており、日米地位協定の運用改善が徹底されていない実態が明らかになっている。