重症障がい児、一時預かり 「なかゆくい」来月開所


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県内で初めて小児科医院に併設して開所する重症心身障がい児対象のレスパイトケア施設「なかゆくい」=23日、南風原町津嘉山のわんぱくクリニック1階

 人工呼吸器の管理など医療的ケアが必要な子どもを日中一時的に預かり、活動の場を提供するレスパイトケア施設「なかゆくい」が9月上旬、南風原町の小児科・わんぱくクリニック内に開所する。

小児科医院に併設され、医療的ケアが必要な子どもに利用を特化した施設は県内で初めて。在宅療養中の子どもの受け入れによる保護者のレスパイトケア(一時休息)が目的だ。保護者からは「医師と看護師がいるので安心して預けられる」と歓迎する声が上がっている。
 重症心身障がい児を一時預かる病院や施設は県内で数カ所あるが、人工呼吸器を付けるなど重症度の高い小児は敬遠されがちだった。そのため保護者が24時間体制で介護に当たる家庭もあり、預け先の確保が長年の課題となっている。
 なかゆくいは市町村の「日中一時支援事業」の実施事業所として、市町村から指定を受けて運営し、当該市町村に住む利用者を受け入れる。浦添市が指定を予定しており、南部圏域の複数の市町村も指定を検討している。同クリニックの當間隆也医師は「医師は退院を喜ぶが、親にとっては自宅に戻ってからが勝負だ。社会制度が整っていない中、社会との接点が少なく家に閉じこもりがちになる」と課題を指摘する。なかゆくいの利用を通して「親子それぞれの世界を広げたい」と抱負を語った。
 受け入れは人工呼吸器の装着、たんの吸入吸引、経管栄養など医療的ケアを受けている重症心身障がい児や、小児期から医療的ケアを必要としていて成人になった人。定員は1日5人。看護師2人のほか、保育士も常勤する。音楽やリズムも取り入れ、遊びと学びも重視している。
 「医療的ケアが必要な子どもの親の会・らいおんはぁと」世話役の湯地三代子さんは「親は休む時間がほとんどなく、病児のきょうだいも遊びが自由にできない家庭もある。なかゆくいなら、こども医療センターとも連携できるから安心だ」と喜んだ。「なかゆくい」の問い合わせは(電話)098(888)1234。(高江洲洋子)

<用語>日中一時支援事業
 市町村事業として位置付けられている。福祉施設や医療機関などで障がいのある人を日帰りで一時預かり、日中活動の場を提供する。自宅で介護を行う人の休息や就労支援などを目的としている。