名護 映画の舞台に 活性化へ国2億補助


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交付状を受け取るパムの長嶺由成社長(右)と名護大通り会の末吉司副会長(右から2人目)=30日、那覇市の沖縄総合事務局

 沖縄総合事務局は30日、名護市を舞台にした映画製作で地域再生を図る取り組みを補助事業として採択した。映画は12月から来年1月にかけて撮影、来夏に全国公開する計画。総製作費は3億円で国の補助は2億円。映画製作の一環で商業拠点整備や特産品も開発する。9月上旬にシナリオを公募する。出演者は全国区の俳優を予定する。国の補助金で地域再生を図る本格的な映画作りは全国で初めて。

 本部町の美ら海水族館などを訪れるため名護市内を素通りしている観光客を名護の市街地に呼び込むのが狙い。通過客は年間300万人以上で、そのうち30~40代の子ども連れの女性で関東圏在住の30~40万人に照準を絞る。
 映画を製作するのは名護大通り会(浦崎均会長)と沖縄観光サイトなどを展開するパム(那覇市)。製作費のうち1億円はパムが負担する。製作費の内訳は、2億円で映画を撮影。1億円をハード事業として大通り沿いにカフェなど交流拠点を3カ所整備し撮影でも活用する。
 映画などのコンテンツ産業は劇場興行権などが大手映画配給会社に独占され、地域はロケ地となるだけで版権を地域活性に活用できない仕組みになっている。今回は、秋田での成功事例を参考に地元で権利を使えるよう、名護大通り会とパムは、映画製作の主体として7月にLLP(有限責任事業組合)を創設した。
 大通り会の末吉司副会長は「映画は新しい形のツール。われわれが出発点になって中心市街地活性化の新しい形にしていきたい」と述べた。パムの長嶺由成社長は「撮り終えてからが勝負。長期戦の構えで臨みたい」と抱負を語った。
 沖縄総合事務局の能登靖経済産業部長は「映画を活用して名護の持つ魅力やストーリーを発信してほしい。地域の人々の気付きにもつながる」と映画に期待した。
 交付式に同席した名護市の玉城政光産業部長は「他の通り会にも波及効果は大きい。組織づくりや人的協力など名護市としても可能なバックアップをやっていきたい」と述べた。