滝つぼの男性 果敢に救出 崎濱さんに感謝状


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国頭村安波のタナガーグムイで溺れた人を救助した崎濱大斗さん=29日、国頭村の国頭地区行政事務組合消防本部

 【国頭】国頭地区行政事務組合消防本部は29日、国頭村安波の通称タナガーグムイで溺れた男性(28)を救助した崎濱大斗さん(18)=読谷村=に感謝状を贈った。タナガーグムイは、滝つぼの水深が深く消防からの距離が遠いため、溺れて助かる例はほとんどない。人命救助は、消防が把握しているだけで今回が初めてという。

溺れていた場所は水深約8メートル。間一髪の救出劇に、消防は「少しでも遅れると助からなかった。奇跡的なタイミングだ」と崎濱さんの勇気をたたえた。
 事故が起きたのは3日の正午すぎ。友人と共に岸にいた崎濱さんは、滝つぼの中央で男性が手をばたつかせ、声を上げたのを目撃した。男性の顔や手が沈んでいく様子を見て「溺れている」と判断。隣にいた友人に「助けに行く」と告げて飛び込み、約20メートルの距離を泳いで男性の下にたどり着いた。既に約1メートル沈んでいた男性の手を引っ張って水面に上げ、脇に抱えて平泳ぎで滝の岩場へ運んだ。
 溺れた男性は、琉球大学の韓国人留学生。共に来た友人を追い掛けて泳ぐ途中で足がまひして動かなくなったという。水面に上がった瞬間息を吹き返し、病院に行くことなく元気に帰ることができた。
 「必死だった。怖いとは思わなかった」と振り返る崎濱さん。「消防の人が人を助けているのはすごい。これを機に頑張っていきたい」と話した。
 親川守洋消防長は「成人男性を助けるのはなかなかできない。救助法と勇気が素晴らしい」と称賛した。