旧西中共同製糖場煙突 観光誘客へ活用 再現検討委が発足


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 【宮古島】ことし6月に国の登録有形文化財になった市城辺の「旧西中共同製糖場煙突」周辺を整備し、保存と活用を図ろうと地域住民らは西中共同製糖場「宮古島レンガ煙突サタヤー」再現検討委員会をこのほど発足させた。体験工房など観光客が来やすい施設整備も構想し、城辺地域の活性化につなげたい考えだ。

 旧西中共同製糖場煙突は、高さ13メートルでサトウキビ畑の中に建つレンガの煙突。宮古島の製糖業を象徴する煙突で、県内でも希少な昭和前期の製糖工場の遺構とされる。本来は約20メートルの高さだったが、沖縄戦の終戦間際に米軍のロケット砲弾を受け損傷。損傷部分は戦後の台風で崩落し、現在の高さになったという。
 再現検討委では煙突の修復のほか、今は完全になくなった製糖場の復活も模索。当時の生活用品を展示するコーナーや黒糖作りなどを体験できる施設も整え、観光客の誘致につなげたい考えだ。
 初回の委員会では往時の姿を知る人が高齢化で減少しているため、聞き取りなど情報収集を急ぐべきとの声が上がった。
 会議には文化財を担当する市教育委員会生涯学習振興課の担当者も出席した。市教委は将来的に煙突を復元する考えを説明。また登録有形文化財が、活用しながら長く残していくことに重点をおいた制度であるとし、今後同検討委と意見交換を重ねる考えを示した。
 会長に就いた宮国匡さん(69)は「生まれてから何十年も見てきた煙突だ。活用の動きがでてきたので、頑張っていきたい」と力を込めた。

西中共同製糖場再現に向け議論する地域住民ら=15日、宮古島市城辺の西中公民館
旧西中共同製糖場煙突=宮古島市城辺