天皇杯全日本選手権 FC琉球、逆転で初戦突破


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後半35分、永井秀樹のパスを受けて同点ゴールを決める中山悟志=8月31日、県総合運動公園陸上競技場(桑原晶子撮影)

 サッカーの第93回天皇杯全日本選手権(日本サッカー協会、Jリーグ主催、共同通信社、NHK共催)は31日に開幕して各地で1回戦11試合を行い、来季から始まるJ3入りを目指す福島ユナイテッド(福島)や日本フットボールリーグ(JFL)首位のカマタマーレ讃岐が2回戦に進んだ。

 県代表のFC琉球は県総合運動公園陸上競技場で島根代表のデッツォーラ島根と初戦を戦い、延長戦の末に2―1で勝利した。琉球は8日午後1時からShonan BMWスタジアム平塚でJ1の湘南ベルマーレと2回戦を戦う。
 福島ユナイテッドは山梨学院大ペガサス(山梨)に2―1で逆転勝ちし、カマタマーレ讃岐は高松商高(香川)に7―2で大勝した。栃木ウーヴァ(栃木)長野パルセイロ(長野)などのJFL勢も初戦を突破した。
 Jリーグ勢は4日に始まる2回戦から出場。決勝は来年1月1日に東京・国立競技場で行われる。

▽1回戦
FC琉球(沖縄)
 2―1(0―0,1―1 延長1―0,0―0)
デッツォーラ島根(島根)
▽得点者【F】中山2【デ】隅田

 【評】FC琉球は後半22分に島根に先制されたが、途中出場の中山が同35分と延長前半5分に得点して逆転勝ちした。序盤は軽快なパス回しで攻め込む島根を止められなかった。前半の終盤にかけて主導権を握り、何度も島根ゴールに攻め込んだが決定力に欠けた。パスミスから好機をつぶす場面も目立ち、攻撃も積極性に欠けた。
 守備陣は相手のカウンターに対応できず、何度も危ない場面を迎えたが、体を張った守りで切り抜けた。(平安太一)

◆新戦力中山 チーム救う2得点
 FC琉球の新戦力が大役を果たした。8月にV・ファーレン長崎から期限付きで加入した中山悟志が1点ビハインドの後半にピッチへ送り出され、2得点を決めて逆転勝利をもたらした。「チームで決めた得点だ」と仲間の支えに感謝し、「いいスタートが切れた」と笑顔を見せた。
 ピッチに立つ中山の気合は十分だった。「負けるわけにいかない」。島根に先制点を奪われ、試合終了時間が迫る中で気合を入れた。攻撃の起点となり、絶妙なパス回しで周囲をもり立て、自身も積極的にボールに絡んで相手陣地へ攻め込んだ。
 後半35分、「相手は疲れている」と島根守備陣の微妙な変化を見極めると、永井秀樹が出した浮き球に左足を合わせて同点のネットを揺らした。「永井さんはいいボールを出してくれるので、それだけを狙っていた」と語る。延長前半5分には高橋駿太の縦パスを受けて逆転弾をゴールに突き刺した。
 「中山が2点を取ったことは良かった」。試合後、薩川了洋監督は新戦力の活躍をたたえた。しかし、「それ以外はいいところがなかった」と試合内容には満足していない。パスミスや決定力不足が際立った試合に、「情けなさを感じた。勝っても反省する試合だ」。次戦はJ1の湘南ベルマーレと対戦するため、「(格上にも)勝てるサッカーを考えなければいけない」と話した。(平安太一)

▽監督談話
今日は消化不良
 薩川了洋監督(FC琉球)の話 中山が2点を取ったことだけが良く、あとはすべて不合格だ。逆転する力をFC琉球が持っていただけでチームとしては相手が上だった。今日のうちの選手は消化不良だ。(2回戦の)湘南に向け、相手を研究し尽くして、チャレンジャーとして勝ちにいく必要がある。

わずかなミスが
 石田学監督(島根)の話 わずかなミスが勝敗を分けた。失点の場面はカバリングが徹底できず、2点目は相手のプレスにはまった。チームの持ち味である守備は機能したが、90分間完璧にやるべきだった。相手は勝負どころで仕事をしており、選手交代で流れが変わった。