トラム導入し街づくりを ヴァンソンさん講演


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 【宜野湾】普天間飛行場返還後の街づくりを考えるきっかけにしようと、宜野湾市基地跡地対策課は8月28日、フランスの公共交通に詳しいヴァンソン藤井由実さんによる講演会「公共交通を導入したまちづくり」を市役所で開いた。

ヴァンソンさんは、新型路面電車トラム(LRT)の導入でにぎわうフランスのストラスブールを中心に各地の事例を紹介。「普天間が返還されるとさら地で返ってくるので、他県に比べ街の景観再整備はやりやすい。まちづくりの一つのツールとして公共交通を考えてほしい」と述べた。
 車社会がもたらす交通渋滞や大気汚染の対策として、ストラスブールでは1980年代から新たな公共交通に関する議論が進み、トラムが導入された。
 芝生軌道や植林などの環境保全に取り組むことで景観の再整備にもつながり、環境先進都市としてフランスを代表する街となっている。
 ヴァンソンさんは、車社会の沖縄でも3割の人が車を持っていないことに触れ「車がなくても高齢者が自由に街に出られ、全ての人が移動できる社会を目指すという意味で福祉政策にもなる」と話した。
 沖縄での導入課題として(1)鉄道事業者の不在(2)バスとモノレールなど既存の公共交通との連携(3)広域自治体連合の必要性―などを指摘。
 公共交通の乗り降り場所と大型駐車場が一体となった「パーク・アンド・ライド」と呼ばれる仕組みも必要だと説明した。

ヴァンソン藤井由実さんの講演に聞き入る参加者=8月28日、宜野湾市役所
ヴァンソン藤井由実さん