「隠れた名盤」五輪真弓『ＢＯＲＮ　ＡＧＡＩＮ』

温かさが生きる声で壮大なバラード
　昨年デビューから４０年を迎え、今秋には５カ所でのコンサートも決定している五輪真弓の久しぶりのシングル。近年、彼女の力強い声に内包される温かさが目立ってきたが、本作ではそれが大いに生きている。

　表題曲は、たとえ命が終わろうとも、再び「君に会いたい」と誓う壮大なバラード。ただ、穏やかな声ゆえに大きく構えすぎずに、悲しいことが今日起こっても、明日はまた新たに迎えようという気分になる。彼女の名作を多数手がけた船山基紀によるピアノとストリングスを中心としたアレンジも優しい。
　カップリングの『花のように』も、花と人の心を重ねて、鮮やかに優しく生きることの喜びをそっと教えるバラード。こちらは全編に流れるアンビエントな演奏が、夢心地にさせるようだ。
　どちらも達人らしく普遍的なメッセージに満ちている。本作を聞けば、たとえ身体に衰えを感じる時も、精神は成長し続けることを認識し、自分もそうありたいと励まされるはず。
　（ソニーミュージック・ダイレクト・１３００円）＝つのはず誠
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)