衝撃波利用し米粉 沖縄高専・伊東校長、製造装置を開発


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衝撃波による米粉製造装置について説明する伊東繁校長=名護市の国立沖縄工業高等専門学校

 【名護】国立沖縄工業高等専門学校(名護市)の伊東繁校長が、水中放電で発生する衝撃波を利用し、低コスト、高品質の米粉を製造する装置を開発した。11月をめどに実証実験を開始し、来年度中に世界初となる実用化を目指す。

この技術を応用し、モズクや月桃などの製粉化、成分抽出向上実験も進めており、県産品への活用も期待できる。
 衝撃波研究を専門とする伊東校長によると、音速を超える速度で伝わる衝撃波は、物質内を通る際、引っ張り合う力が生じて破壊を起こさせる。
 従来の製粉方法では、粉砕時に生じる摩擦熱で栄養成分が失われることがあったが、衝撃波により非加熱で製粉することでそれが防げるという。この技術を応用し食品を軟らかくしたり、抽出性を向上させたりすることが見込める。
 衝撃波を利用した県産品の加工研究では、モズクの有効成分フコイダン、月桃の製油量や香り、殺菌成分、シークヮーサーの栄養成分などの抽出性向上に向けての実験も進めている。
 装置の研究は、農林水産省の食品産業科学技術研究推進事業の一環で、伊東校長が前任地の熊本大学衝撃・極限環境研究センター在籍時の2006年ごろに開始した。米粉でうどんやパンなどを作り、食料自給率向上を目指している。
 当初は爆薬を使って衝撃波を発生させていたが、繰り返しの実験が困難で電気を使った実験装置を開発した。
 10年に沖縄高専に赴任してからは、電気回路の製作を情報通信システム工学科の比嘉勝也教授、機械設計、製作を機械システム工学科の下嶋賢准教授が行い実験を進めた。
 伊東校長は「米の消費量が減っているので活用してもらいたい。県産品でも実験しており、県の自立発展型経済に少しでも貢献したい」と語った。(仲村良太)