認可外保育所 室内騒音70デシベル 普天間・嘉手納基地周辺


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 【中部】米空軍嘉手納基地と米軍普天間飛行場近くにある防音工事を実施していない認可外保育所の室内で、米軍機の離着陸時に世界保健機関(WHO)の推奨値35デシベルを大幅に上回る70デシベル(騒々しい街頭に相当)の騒音を記録したことが、6日までに分かった。

琉球大の渡嘉敷健准教授が調査した。認可外保育所は国の防音工事費助成の対象になっておらず、子どもたちが厳しい騒音環境にさらされている実態が浮き彫りとなった。
 防衛省は8月、厚生労働省の指導監督基準を満たした認可外保育所へ助成対象を拡大することを決めた。だが県内の助成対象地域内(住宅防音の場合)にある97保育所のうち、新たに対象となるのは半数以下の44保育所。残る53保育所は今後も環境基準を大幅に上回る騒音にさらされ続ける可能性がある。
 調査は7月下旬から8月上旬にかけ、嘉手納基地と普天間飛行場周辺の防音工事をしていない2保育所に騒音測定器を設置して実施。窓の防音性能を測るとともに、周辺を飛ぶ米軍機の種類や音量を記録した。
 航空機騒音のうるささ指数(W値)85の地域にある嘉手納基地近くの保育所では、F15戦闘機2機が離陸した7月31日午前10時32分、屋外で94・9デシベルを記録した。この時、窓を閉めた室内で騒々しい街頭に相当する69・3デシベルを記録した。
 W値80の地域にある普天間飛行場近くの保育所では、昼寝時間中に米軍機が飛行した。その際、屋外で89・2デシベルを記録し、屋内では一部の窓が開いていた状態で78・5デシベルを記録した。
 厚労省によると、保育所に対する騒音の基準はない。WHOの「環境騒音のガイドライン」によると、幼稚園の授業中の騒音レベルは目標値として35デシベル、昼寝時は30デシベル以下にとどめるべきだとしている。
 両保育所の窓の防音性能は20~25デシベル程度で、防音工事をしていない一般住宅と同レベルだった。
 (大城和賀子、宮城征彦)