八重山観光が好調 新空港開港半年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【八重山】新石垣空港開港から7日で半年を迎える。八重山入域観光客数は7月に単月として初めて10万人を突破するなど、4~7月は4カ月連続で単月の過去最高を記録。八重山ビジターズビューローが今年の目標に掲げる80万人を大幅に超える勢いで推移している。有効求人倍率も開港前から上昇し、雇用環境も改善の兆しが見られる。

 石垣島の中心市街地にある中堅ホテル、イーストチャイナシーは連日満室状態が続き、8月の稼働率は100%に近いという。リゾートホテルからあふれたファミリー層も訪れるようになり、客室単価も上昇。五十嵐祥平マネジャーは「メディアで八重山が取り上げられるようになり、注目が集まった影響が大きい」と、開港効果を指摘する。
 格安航空会社(LCC)の参入による航空各社の価格競争で運賃が低減し、客層の変化も見られる。リゾートホテルのANAインターコンチネンタル石垣リゾートは「初めての方や、昔に来たことがある方が戻ってきている。航空便の利便性が高まり、八重山まで足が延びるようになった」と分析する。
 物産販売も好調だ。昨年、30~45億円程度で推移していた観光消費額は、空港が開港した3月に55・3億円を記録。7月は前年同月比29%増の59億1千万円まで上昇した。
 空港ターミナルと土産品店が並ぶユーグレナモールに店舗を構える石垣市特産品販売センターの根原工事務局長は「石垣牛やかまぼこなどの冷蔵・冷凍商品、ミンサーなどの工芸品が伸びている」と話した。
 観光・物産の売り上げ上昇は雇用にも波及し、八重山の7月の有効求人倍率は0・70倍と、県全体の0・52倍を上回った。求職数が減少した影響もあるが、八重山公共職業安定所によると、採用を控えていた事業者が好景気を理由に再開する事例があるという。
 一方、与那国町は開港後も入域観光客数が前年割れする月がある。石垣―与那国はジェット機から小型機に変わり、団体客は減少している。町観光協会は「日帰り客が増えたのはいいが、宿泊にはつながっていない」と複雑な心境だ。
 石垣市観光交流協会の宮平康弘会長は「八重山の観光客はミドル層が多かったが、開港後は大学生など若い世代が増えているように感じる。今は開港のご祝儀的な増加なので、持続的な発展のためには島の魅力をアピールし続けることが大事だ」と話した。(稲福政俊)

観光客で混雑する新石垣空港=7月13日、石垣市白保