県内のダンプカー、法定の1.7倍の積載量が常態化


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荷台にさし枠(ついたて)を立て、法定量を超える砂利を積んでいるダンプカー=9月4日、名護市数久田

 生コンの材料となる砂利などを積む県内ダンプカーの大半が、法律で定められた積載量(1台当たり10トン)の1・7倍に当たる量の資材を積んで走行していることが7日、分かった。全国では、ダンプカーの過積載走行による事故が相次いでおり、社会問題化している。

名護署によると、沖縄本島内で生コン工場を持つ35事業所のうち、法定の積載量で荷積みするよう運転手に指示しているのは2社だけ。沖縄ダンプ協議会は「他の工場は事実上、過積載を黙認している」と話している。
 ダンプ運転手は生コン工場と直接、個人契約を結び、砂利などの資材を生コン工場に運ぶ。
 沖縄ダンプ協議会によると、運転手は県内に約250人おり、そのほとんどが個人事業主(一人親方)だ。過積載は県内で海洋博覧会(1975年)の時代から暗黙のルールとして続いているという。契約は会社対個人のため過積載を拒否すれば、生コン工場から契約解除を宣告されるという。
 運転手らによると、以前は20トンを超える過積載が横行していたが、事故が相次いだことで徐々に量は減り、現在は17トンが主流という。
 一方、県生コンクリート協同組合の上原彦専務理事は、過積載が常態化している現状を「認識している」とした上で「組合として過積載をやめるよう各工場に呼び掛けたい」と話した。
 全国では過積載走行による事故が相次いでおり、2011年5月には、神奈川県川崎市の県道で過積載のダンプが横転し、近くにいた自転車と衝突、自転車に乗っていた60代男性が死亡した。県内では、ことし5月に過積載のダンプが走行中、タイヤ2本が脱落する事故が起きた。けが人はいなかった。
 事故を誘発する過積載走行を重く見た名護署はことし4月から取り締まりを強化した。県警がことし1月以降、8月末までに過積載で摘発した件数は70件に上り、そのほとんどがダンプだった。昨年1年間の摘発件数は57件。
 ダンプ協議会によると、生コン業者から運転手に支払われる運搬単価は資材1トン当たり約千円で、復帰後からほとんど上がっていない。一方、タイヤなどの部品代や燃料費などが高騰しており、運転手の収入は減少傾向が続いている。
 ダンプ協議会の東江勇議長は「過積載問題は業界全体の問題だ。運搬単価が上がらない現状では、過積載は根絶できない。単価を上げ、法律で定められた量を守り、安全、安心な運転ができる環境をつくらなければならない」と話した。(吉田健一)