県障がい者権利条例案、18日に県議会提出


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 県は10日、庁議を開き、障がい者の権利を擁護する「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」案を18日開会予定の県議会9月定例会に提出することを決めた。条例案は障がい者への虐待を禁じる条文など39条から成る。

当事者の意見を反映して理念を伝える前文や、条例内容を改善できる「見直し条項」も設けた。条例案が県議会で可決・成立されれば、同様の条例成立は都道府県レベルで6番目となる。来年4月の施行を目指している。
 県の条例案では「障害を理由とする差別などを解消するための基本的施策」を全国で初めて条文に取り入れた。
 県は、条例制定の背景や理念などをうたう前文について「目的規定に入れるのが一般的なルール」として素案には挿入していなかった。しかし背景などを県民に分かりやすく説明すべきとの意見が、条例案を検討する県民会議や県民から寄せられたため「共有されてこなかった価値観を広めるために必要」と判断し、条例案には盛り込んだ。
 前文は差別などの「さまざまな要因により、自己の望む生活を十分に実現できているとは言えない」とし、条例制定により「県民が等しく地域社会の一員としてあらゆる分野に参加できる共生社会を実現する」とうたっている。
 見直し条項についても、前文同様に県民会議などの意見を踏まえて追加した。施行後3年をめどに、障がい者をめぐる社会状況を勘案して必要に応じて条例の内容を見直すとしている。
 このほか、県民会議や障がい者団体は、市町村の相談員が確実に配置される仕組みを盛り込むよう求めていたが、県は地方分権の観点から市町村に配置を義務付けるのは難しいと判断し、盛り込まなかった。
 条例案では福祉サービス、医療、雇用、教育、不動産取引など各分野で障がいを理由にした差別を禁止し、差別を解消する仕組みについても盛り込んでいる。
 条例制定に向け県は、障がい者や識者らを委員にした県民会議を設置、同会議とともに条例の内容を検討し、案をまとめた。