沖縄拠点の国際通信網整備へ 県、建設費など調査


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 県は、アジア―沖縄―東京をつなぐ国際海底光ケーブルの整備を計画している。2013年度9月補正予算案に、経済波及効果やインフラ整備の建設費などの調査を実施する「アジア情報通信ハブ形成促進事業」として約4千万円を計上した。

14年度から設計・建設事業を始め、16年度中にも運営を開始させたい考えだ。光ケーブルによる国際通信回線網を構築することで、沖縄をアジアの情報通信ハブ(拠点)と位置付け、さらなる産業振興を図る狙いがある。
 現在、首都圏に日本の国際通信回線の約9割が陸揚げされ、データセンターの約7割が集中している。東日本大震災以降、災害時でも事業が継続できるようデータセンターの首都圏外立地や地方のバックアップ拠点設置が課題とされていた。
 県は国際通信回線網を構築することで、災害時に本土と同時に被災する可能性が低い沖縄にリスクを分散化させる環境を整え、首都圏の情報通信企業などの進出意欲を高めたい考え。データセンターやクラウドサービス系企業などの集積を目指す。
 現在、沖縄―香港間の高速インターネット接続回線・GIX(グローバル・インターネット・エクスチェンジ)は整備されているが、情報が集積する東京を通る経路は、米国を経由するため速度の遅さが指摘されていた。
 東京から沖縄を中継地にした国際海底光ケーブルを整備することで、速度が速く大容量のデータが送れるようになるため、県内に立地するIT産業の優位性が高まる見込みだ。
 県の担当者は「通信インフラが整うことで、企業誘致にもつながりやすくなる。新たな雇用も期待できる」と話した。