女性舞踊家 華やか競演 各流会派の特色発揮


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 国立劇場おきなわの琉球舞踊公演「琉舞鑑賞会 豊穣の舞」が7日、浦添市の同劇場で行われた。女性師範・教師33人が華やかに競演し、古典や雑踊、創作を披露した。各流会派の特色が発揮される演目もあった。

 第1部は古典舞踊。阿波連京子は、髪をうちなーからじにして舞う阿波連本流の「瓦屋」を披露した。渡久地美乃、玉城優美、松田あかね、田場香織は、古典の中で特異な「しゅんどう」を踊った。醜童役は手をくるくる回すなど滑稽な動きを見せるが、美少女役はそれを無視するようにすまして踊る。古典らしい品格を保ちながらも観客の笑いを誘った。一方で、醜童の悲しみを歌った詞は教訓的でもあった。
 そのほか、大田礼子が「伊野波節」、金城伊都子と宮里ゆかりが「揚作田節」、島袋節子と大城初子が「稲まじん」、宮城尚子(たかこ)と宮城由紀子が「上い口説囃子」を踊った。
 第2部は雑踊と創作。真踊流の「小浜節」が異彩を放った。真境名佳子初代家元が1959年に振り付けた作品。前半は八重山古典民謡「小浜節」に乗せて、3人の踊り手が舞台の三方から登場する。三者三様に舞い、あるときは同じ所作をして交じり合う。ゆったりとした哀愁漂う旋律と相まって、不思議な世界を生み出した。後半は「安里屋節」で軽やかに踊った。
 堀川和美、浜川真由美、上原稲子、安里明美、伊芸光枝、大城聖子は「大漁」を披露した。芝居でも活躍した玉城流七扇会初代家元の宇根伸三郎の作品。「前の浜節」「伊計離節」に合わせ、沖にこぎ出したり、大漁に沸いたりと躍動感あふれる展開で魅せた。
 そのほか、喜瀬陽子と島袋和江が「谷茶前」、山川昭子(あきこ)、大城直江、長山真由美、山城一奈が「浜千鳥」、長田えり子、伊波妙、西村綾乃、河崎初美が「櫂(かい)の鳩間節」、仲程めぐみ、仲真あけみが「糸満乙女」を踊った。
 出演者自身の創作も見たかったが、群舞が中心なので難しいかもしれない。群舞を中心にしたのは、なるべく多くの舞踊家を出演させる狙いもあったという。組踊にも出演する男性と比べて女性の活躍の場は少なく、今回初めて国立劇場の主催公演に出た舞踊家も多かった。関係者が力を出し合い、層の厚い女性舞踊家の舞台を増やしていってほしい。(伊佐尚記)

「大漁」を踊る玉城流七扇会などの舞踊家=7日、浦添市の国立劇場おきなわ(同劇場提供)
「小浜節」を踊る真踊流の舞踊家=7日、浦添市の国立劇場おきなわ(同劇場提供)