居場所探す少女描く 高校生が熱演「劇団H2O」


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突然不良ぶる加菜(右端、長嶺舞夢)に言葉を失うクラスメート=1日、那覇市の「わが街の小劇場」

 劇団O.Z.Eの高校生部門、劇団H2Oの第5回本公演「脇役に愛を」(平安咲貴作、新垣晋也演出)が8月31日と9月1日、那覇市の「わが街の小劇場」であった。

高校生が書いた脚本を高校生が熱演。学校という狭い世界で生きづらさを感じながら、居場所を探してもがく少女の姿を描いた。
 クラスの「脇役」を自認する加菜(長嶺舞夢)は、好意を寄せる啓(大嶺作夢)に振られた上に悪口を言われる。失意の底で「もう脇役にならない」と決意する加菜。せめて悪役になろうと、啓と愛美(新地涼夏)の恋を邪魔する。
 いい人すぎる愛美や達観した唯(柳田京香)など、「クラスにいる」と思わせる登場人物が共感を呼んだ。もう一人の「脇役」侑也(伊敷七海)は、道化とも聖人とも言える特異なキャラクターで盛り上げた。侑也は加菜から格下扱いされながらも、無償の愛をささげる。愛美たちへの嫌がらせをちゅうちょする加菜の代わりに、自分がやろうとするいちずさが泣けた。
 加菜は愛美を傷付けることで、余計むなしさを募らせる。結局悪役にすらなれなかったが、もがき苦しんだ末にわずかな成長を感じさせる結末。ただ、終幕の曲は、それまでの展開からは爽やかすぎる気がした。役者間の演技力の差を感じる場面もあった。
 H2Oは2年前に活動を始めた。これまで既存の脚本を使っていたが、初めて新作を上演した。平安は高校の演劇同好会以外で初めて作品が上演されたという。今回は自身の体験に根ざした学園物だったが、今後何を書くのか楽しみだ。