車いすのままバスへ 旅行、遠出 可能に 沖縄市のそら観光


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車いすの車輪を固定するくぼみや金具が取り付けられているリフト付き福祉バス=7日、豊見城市豊崎

 車椅子に乗ったまま、リフトで乗り降りできる「福祉バス」に特化したバス会社「そら観光」が、8月に沖縄市で発足した。車椅子4台と一般座席13席がある車両など計3台を運行している。代表取締役の畑広一さん(50)は「車椅子だからと言って、遠出をあきらめず、多くの人たちに県内外の旅行を楽しんでほしい」と話している。

 これまで県内のバス会社の一部の車両が、リフト付きバスで障がい者に対応しているケースはあるが、車椅子の利用者に特化した貸し切りバス会社は珍しい。
 13年間北海道で福祉バスの運行に従事してきた畑さんは「障がい者に特化したサービスをしたい」と今年1月に沖縄に引っ越し、会社を設立した。
 「北海道の場合、夏場に客が集中していた。ニーズは確かにある。いずれは北海道と沖縄双方でバスを運行したい」と語った。さらに「沖縄は観光施設のバリアフリー化は進んでいるが、そこに行くまでの手段(車両)が乏しい」と指摘した。
 7日、沖縄市照屋から豊見城市豊崎まで放課後等デイサービス「そら」の車椅子利用者7人を2台に分けてバスを運行した。「そら」のスタッフで介護福祉士の山内しのぶさんは「複数の人数を一度に移動する、リフト付きの専用車両を持っている事業所は少ない。車椅子の利用者を抱きかかえて車に乗せて、車椅子は折りたたんで別々に乗せるケースが多いと思う。座位が保てればいいが、介護者も負担があると思う」と述べ、福祉バスの運行を歓迎した。(知花亜美)