南風原町喜屋武の組踊「本部大主」 30年ぶり復活へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
本番を控え、稽古に余念のない喜屋武区の区民=11日、南風原町立中央公民館黄金ホール

 【南風原】南風原町喜屋武区(野原徹一区長)に伝わる伝統芸能の一つ、組踊「本部大主(うふぬし)」(同上演委員会主催)が21日午後3時から同町立中央公民館で30年ぶりに復活上演される。昨年末に上演実行委が発足。国指定重要無形文化財組踊保持者の金城清一・玉城流翠扇会家元を演出指導に招き、10代から50代までの区民が3月から稽古に取り組んできた。

 同区では「十五夜遊び」の演目として記念行事の折に組踊を上演。その記録は1893年にさかのぼる。1928年に33年ぶりに上演され、83年に55年ぶりに復活上演を果たした。今回は「伝統芸能を若い世代に継承したい」という区民の強い要望で、復活上演が実現する。勉強会、組踊ゆかりの地の視察なども行った。
 物語は北山城の按司に謀反を起こした本部大主の追っ手から逃げ延びた若按司が、味方の頭役謝名大主らと共に策略を立て、あだ討ちを果たすまでを描く。上演時間は2時間余という大作だ。
 立方19人、地謡12人全て区民が務める。本部大主を演じる大城昌信さん(46)は「唱えなど難しいが、伝統を継承しようと区民が一体となって取り組み、世代間交流にもつながっている」と話す。
 指導する金城家元は「地元の伝統芸能を残す意味で、前回上演の記録のままを心掛けた。若い人たちの一生懸命な姿を見てほしい」と話す。区出身で舞踊、演技指導の砂川美鈴さん(52)は「区の芸能を通し、一人一人が参加することの意味を学んでほしい。皆の思いが伝わる舞台にしたい」と意気込む。
 当日は「十五夜遊び」と位置付け、1部では「長者の大主」「舞方棒」「獅子舞」「ヤリク節」を披露。2部で組踊を上演する。入場無料。問い合わせは喜屋武集落センター(電話)098(889)6603。