障がい者ら無料誌発行 読谷の就労支援「うぃず」利用者


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 【読谷】身体や知的、精神に障がいのある人が就職を目指し訓練する「就労支援センター うぃず」の利用者たちが、フリーペーパー「WITH YOU」を発行している。

障がいのある当事者が企画し取材、編集、配布まで全てを分担するのが特徴で、就職を果たした元利用者へのインタビューや、自慢の一品を紹介するコーナーなど内容も多彩だ。地域からは「すごいね」「同級生が載っている」などと声が掛かり、利用者と地域の顔が見える関係づくりに役立っている。
 ことし4月に第1号、8月に第2号を発行。読谷村と嘉手納町の商店や公民館など約70店舗に手分けして1300部を配る。利用者の作業ペースや体調を考え、発行日は固定しない。
 発案者は元利用者で、9月からうぃずの広報担当職員として働く山本和生さん(47)。昨年12月からうぃずに通い始めたところ、「利用者はみんな個性的で面白い。ぜひ紹介したい」と発行を思い立った。
 利用者が話し合い、それぞれができる範囲で作業を分担した。歴史好きの與那覇久利さん(30)は好きな本と戦国武将を紹介するコラムを書き、仲地考亮(こうすけ)さん(19)も「1コマ仲地くん」を担当する。
 発達障がいを持つRくん(21)を紹介した第2号では、本人だけではなく、母親や医師へのインタビューを重ね、就職までの苦労などを描いた。
 うぃずで訓練を重ねる40代の女性は「地域には障がいを抱え、就職したくても相談先が分からず不安を抱える人がいるはず。私たちの姿を見せることで『心配しないで』と伝えたい」と語る。
 うぃずの伊波寛也所長は「当事者たちが発信することが、障がいへの理解を助けることにつながる。本人や家族に希望を与えることができればいい」と語った。

企画から取材、配布まで全て自分たちで取り組んだ利用者たち=13日、読谷村の就労支援センターうぃず
医師へのインタビューや利用者の個性が光る紙面