障がい児のニーズ把握 レキサス開発のアプリ


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アプリケーション「ADOC-S」の活動選択画面。イラストを触ることで子どものニーズの把握につなげる

 モバイル端末向けアプリケーション開発のレキサス(うるま市、比屋根隆社長)は19日までに、障がいのある子どもの教育現場で導入が進む「個別の教育支援計画」の作成に活用するアプリケーションを開発した。

対象となる子どもも交えて関係者が68枚のイラストでやりとりすることで子どものニーズを視覚的に把握し、目標設定や課題解決を図る仕組み。同社の担当者は「関係者が共通認識を持って目標を決定し、計画書の作成にも生かせるアプリ」と説明した。
 アプリは神奈川県立保健福祉大学の友利幸之介准教授が代表を務める研究グループと共同で開発した「ADOC―S」。人の生活機能と障がいに関して系統的に分類する国際生活機能分類(ICF)の児童版を参考に、生活や交流、学校で必要とする動作など68の活動項目を選定し、イラストを制作した。
 子どもが目標として取り組む活動を教員や保護者らが本人と一緒にイラストを見て話し合いながら選び、選択回数の多さなどで優先順位を付けて達成目標を設定する日常のコミュニケーション支援機能としての利用を図る。
 その上で教育支援計画書作成の基礎情報として活用の広がりを提案する。「個別の教育支援計画」は教育を中心とした関係機関が連携し、障がいのある幼児や児童、生徒一人一人のニーズに応じた支援を実施するために策定する教育事業で、各教育現場で実践が進んでいる。
 レキサスは特別支援学校の教員らのほか、自閉症や発達障がいなどがある子どもの保護者、作業療法士ら福祉関係者へのアプリ普及を図り、家庭訪問や三者面談、作業療法士が学校を巡回する時などをアプリ利用場面として想定し、普及を目指している。
 同社の担当者は「計画書策定は関係者の信頼関係をつくる重要なプロセスだが、明確な手順はなく、個々の経験や価値観に任されていることが比較的多い。そのため子どもや保護者、教員の間に認識の違いが生じてしまうことがある」と課題を挙げ、アプリによる改善を提案した。
 アプリは、アップルとグーグルの基本ソフトiOSとアンドロイド対応。価格は税込みでiOS版4800円、アンドロイド版4300円。問い合わせはレキサス(電話)098(921)3800。