沖尚、投手戦制す 県高校野球秋季第8日


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第63回県高校野球秋季大会第8日は22日、沖縄セルラースタジアム那覇などで2回戦の残り6試合を行い、ベスト16が出そろった。3季連続の甲子園出場を目指す沖尚は2―0で興南との投手戦を制した。

第2シードのコザは四回に4点を奪うなどし石川を5―1で退けた。真和志は3―1で普天間に競り勝ち、中部商は6―4で美来工科を下した。与勝は那覇西に4―1で勝ち、那覇商は沖縄高専との乱戦を10―6で制した。23日は同球場などで3回戦4試合を行う。

◆沖尚・山城 圧巻の完封
 開始前から、球場に独特な緊張感が漂った。六回裏の「2」を除いてスコアボードにはゼロが並ぶ。注目を裏切らない好ゲームとなった一戦は、3季連続甲子園出場を狙う沖尚が、底力で興南をねじ伏せた。
 沖尚の山城大智と興南の荻堂重晃。両エースが立ち上がりから投手戦を演じ、鍛え抜かれた守備も試合を引き締めた。ただし、中盤からは確実に沖尚に追い風が吹き始めていた。三回以降、毎回三塁に走者を送った。迎えた六回の1死二、三塁、打席にはそれまで無安打の4番上原康汰。「アウトコースの球をショートの頭上に打つようにと監督に言われていて、その通りの球が来た」と、振り抜いた直球は中堅へ。値千金の2点適時打となった。
 甲子園でも抜群のマウンド度胸で強い印象を残した山城は、この日も変化球を交ぜた緩急ある投球で、八回まで興南打線を2安打に封じた。「ペース配分を考え、ここぞというときには全力で」。九回1死満塁の窮地も、後続をフライに打ち取り、最後の打者はこの日最速の138キロで見逃し三振に仕留めた。
 「ごまかしで勝てる相手じゃない。気を引き締めてきたことがプラスに働いた」と比嘉公也監督は言う。山城が「持っている以上の力を出せる雰囲気のある場所」と振り返る甲子園へ。まずは一つ、大きな壁を乗り越えた。(大城周子)

◆中部商 代打・新垣和ずばり
 中部商の新垣和は、まっすぐ伸びてくる球筋を見ていた。九回1死走者なし、4―4の同点。狙い球は直球。1ストライクから2球目だった。「甘い球だ」。力強くバットを振り抜くと、打球は右中間を破った。三塁まで到達し、チャンスを大きく広げた。「打撃は得意なので、いつも通りやるだけだった」。直後に1番・新垣宏太郎の左前打で勝ち越しのホームを踏んだ。
 新人中央大会の地区予選まで7番左翼で先発出場していた。しかし守備に不安があるため、今大会では先発から外された。「絶対に見返してやる」。悔しさを胸に、ベンチから試合を見守っていた。
 この日も先発に入れず、九回に代打で送り出された。「思い切り振ってこい」。宮城隼人監督に背中を押されると、「結果を残すためにここが大事だ」と気合が入った。打席では「高校では初めて」という眼鏡をかけ、「ボールもしっかり見えていた」と振り返る。
 宮城監督は「(新垣和は)長打力があって、ランナーがいないときに打ってくれる」と期待に応えたことを喜ぶ。新垣和は次戦でもチームに貢献することを誓い、「絶対にレギュラーに戻る」と力を込めた。(平安太一)

◇きのうの結果
▽2回戦
コザ 5―1 石川
那覇商 10―6 沖高専
真和志 3―1 普天間
中部商 6―4 美来工科
与勝 4―1 那覇西
沖尚 2―0 興南

◇きょうの試合
▽3回戦
【北谷】10時
美里工―前原
嘉手納―陽明
【セルスタ】10時
西原―八商工
知念―読谷

興南―沖尚 抜群の制球力で興南打線を完封した沖尚のエース山城大智=22日、沖縄セルラースタジアム那覇(渡慶次哲三撮影)
中部商―美来工科 9回1死、代打で三塁打を放つ中部商の新垣和=22日、北谷公園野球場(諸見里真利撮影)