![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/uploads/img52423dd201889.jpg)
国立劇場おきなわの組踊公演「花売の縁」が15日、浦添市の同劇場で上演された。夫婦、親子の愛を描いた名作。生活苦から生き別れになった親子が再会する場面などを情感を込めて描き、来場者の涙を誘った。
下級士族・森川の子(神谷武史)が、出稼ぎに行ったきり帰らない。妻の乙樽(田口博章)と息子の鶴松(長嶺龍)は夫を捜す旅に出る。方々を訪ね歩いた末、山で出会った薪取(たちぢとぅい)(眞境名正憲)が森川の子について知っていた。働き者にもかかわらず不運が続き、妻子の元へ戻ることがかなわない境遇を切々と語る。無念の思いをにじませる迫真の唱えを聞かせた。
猿引(海勢頭あける)と共に登場した猿(神谷武之心)は首をかしげたり脇腹をかいたりと、かわいらしい演技を見せる。緊張感に包まれた道中に笑いを配し、展開に変化をつけた。
3人は再会するが、森川の子は花売りに落ちぶれたことを恥じ、小屋に隠れてしまう。再び共に暮らすよう諭す、情感の込もった乙樽のせりふが涙を誘った。
地謡は前川朝文、崎濱秀貴、謝敷アンヘル、宮城秀子、仲田治巳、又吉真也、宮雄二が務めた。