風格と探求心舞に乗せて 国指定「琉舞」保持者が競演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 国立劇場おきなわの「琉球舞踊特選会」が21日、浦添市の同劇場で開催された。国指定重要無形文化財「琉球舞踊」(総合認定)保持者12人が競演し、古典や雑踊、創作を披露した。風格と飽くなき探求心がにじむ舞で魅了した。

 玉城節子の「作田(つぃくてん)」は団扇(うちわ)の涼しさを主題とした古典の様式ではなく、豊作を祝う「作田節」の本歌に合わせて新たに作舞した。
 親泊興照の雑踊「浜千鳥(ちじゅやー)」に続けて、佐藤太圭子が伊良波尹吉の作品「南洋浜千鳥」を披露した。ともに「浜千鳥節」を用いるが、「南洋-」は軽やかな曲調にアレンジしており、違いが面白い。「南洋-」の振り付けはより劇的で、望郷の念と移民のたくましさを感じた。
 又吉靜枝は自身の創作「清(ちゅ)ら百合(ゆり)」を踊った。1985年、戦後40年の節目に作られた鎮魂舞踊。琉球古典音楽とインドネシアのガムランが融合し、現世と後生の間にいるような雰囲気を演出した。
 その他の出演者と演目は、宮城幸子(ゆきこ)「瓦屋節(からやーぶし)」、島袋光晴「八重瀬(えーじ)の万歳(まんざい)」、谷田嘉子「本花風(むとぅはなふう)」、玉城秀子「加那よー」、金城美枝子「花風」、喜納幸子(さちこ)「うむい」、宮城能鳳「伊野波(ぬふぁ)節(ぶし)」、志田房子「恋(くい)し浜ユーバンタ」。(伊佐尚記)

稲穂を持つ新たな「作田」を踊る玉城節子=21日、浦添市の国立劇場おきなわ
郷愁の思いがにじむ「浜千鳥」を踊る親泊興照
焦土の中で愛する人の魂に祈る又吉靜枝の「清ら百合」
「本花風」で別離の悲しみをにじませる谷田嘉子
「加那よー」で恋する娘を生き生きと表現する玉城秀子
恋人の旅立ちをひっそり見送る「花風」を踊る金城美枝子
「伊野波節」で抑えた所作の中に激しい恋心を表現する宮城能鳳