30年ぶり「本部大主」 南風原町喜屋武、区民の熱演に拍手


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【南風原】南風原町喜屋武区(野原徹一区長)に伝わる組踊「本部大主(うふぬし)」が21日、町立中央公民館黄金ホールで1983年以来30年ぶりに復活上演された。

立方、地謡と全て区民が務め、2時間余のあだ討ち劇を緩急織り交ぜ熱演。会場には立ち見が出るほど多数の観客が詰め掛け、同区民らの熱演に盛んな拍手を送った。
 喜屋武区によると、組踊「本部大主」は特別な祝い事の際に開催される「大遊(うふあし)び」で上演され、1893年以降、3回の上演しか記録されていない。伝統芸能の保存・継承の観点から区民の要望もあり、昨年上演実行委委員会を発足させ、ことし3月から国指定重要無形文化財組踊保持者の金城清一さん、阿波連本流啓扇南風の会の砂川美鈴さんの指導の下、稽古に取り組んできた。
 この日は「十五夜あしび」と位置付け、1部では同区に伝わる「舞方」「長者の大主」「ヤリク節」「獅子舞」も披露された。
 本部大主に父親を殺された若按司が忠臣の力を借り親のあだ討ちを果たすまでを描いた作品。クライマックスのあだ討ちまで見どころ満載で、観客を引き付けた。
 若按司を演じた田本宏希さん(31)は「この経験を生かし、次の世代に伝統芸能を継承していきたい」と話した。30年前に出演し、舞台を見守った大城喜信さん(77)は「喜屋武の伝統が受け継がれていた」と笑顔を見せた。上演実行委員長を務めた野原区長は「区民の皆さんに感謝したい」と満足そうに話した。

30年ぶりに復活上演された「本部大主」の一場面=21日、南風原町立中央公民館
復活上演を楽しむ多数の町民=21日、南風原町立中央公民館