東京国体きょう開幕 県勢 熱を入れて最終調整に励む


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 【東京国体取材班】第68回国民体育大会(スポーツ祭東京2013)が28日、東京都の味の素スタジアムで行われる総合開会式で幕を開ける。10月8日までの11日間、全国各地から選び抜かれたトップ選手が熱戦を繰り広げる。県勢は会期前開催競技(11~15日)の水泳やボート、ビーチバレーを含む34競技に322人(監督46人、選手276人)が出場する。

県選手団は総合成績30位台を目指しており、各選手が本番に向けた最終調整に熱を入れている。2020年夏季五輪開催決定の祝福ムードが盛り上がる中、東京では54年ぶりの国体となる。大会は東日本大震災復興支援を掲げる。「東京に 多摩に 島々に 羽ばたけアスリート」をスローガンに47都道府県から2万2千人を超える選手、監督らが参加する。

◆「まずは初戦突破」卓球
 卓球の県選手団が27日午後、東京都府中市にある郷土の森総合体育館で練習を行った。
 成年女子は愛工大の仲宗根菜月(普天間高出)を除く狩俣道乃(エレドック沖縄)と狩俣道世(沖国大)が到着。少年男子は中村廉(普天間高)、比嘉秀充(同)、喜納漢裕(沖縄東中)らが現地入りし、ラリーの打ち合いやサーブ練習など、軽めのトレーニングで汗を流した。
 狩俣道乃は国体は2度目の出場。「前回は1回戦で3時間超の熱戦の末に負けてしまった」と初戦突破への雪辱を誓う。妹の道世は9月の全九州学生で優勝するなど波に乗っており「初戦で強豪の青森と当たるけど、全力でぶつかりたい」と気持ちを込めた。
 少年男子主将の中村は「代表として恥ずかしくないプレーがしたい」と、気持ちを引き締めた。比嘉は「まずは1回戦を突破したい」と話した。
 唯一の中学生である喜納は「技術はかなわないけど、年下らしく声を出してチームを盛り上げたい」と意気込んだ。
 成年女子の予選リーグは30日から始まり、少年男子決勝トーナメントは29日に山形との初戦を戦う。初戦突破を目指し、全国の大舞台で躍動する。(仲本文子)

◆苦境越え 狙う栄冠/少年女子ハンマー投げ 本村夏鈴
 女子ハンマー投げで高校生初の57メートル突破を目指す本村夏鈴(那覇西高3年)。今シーズンはこれまでにない絶不調を経験したが、7日の県高校対校秋季大会で日本高校記録にあと1メートル28センチと迫る55メートル18の自己ベストを投げ、復活を印象付けた。国体では昨年に続いて少年女子Aに出場する。「高校記録更新と優勝」と昨年4位からの躍進を期す。
 多良間中時代は砲丸投げが専門で、3年時に樹立した県中学記録は今も破られていない。高校でハンマー投げと出合い、高い技術が求められるところにはまった。回転のリズムやハンマーを放すタイミング、全てをぴたりと合わせないと記録は出ない。「センスよりも練習をした者が強くなる」と本村。ユース日本最高記録を昨年10、11月に連続で更新するなど順調に力を伸ばしてきた。
 だが、今季は苦しんだ。好記録を出そうと無意識のうちに自分に重圧をかけ、投てきフォームのバランスを崩した。4月の日本選抜大会は自己ベストに遠く及ばない51メートル46で10位。高校生でただ一人出場した6月の日本選手権は、予選の試技を全てファウルで記録なし。練習でも試合でも笑顔がなくなった。
 復調のきっかけは、夏に九州共立大の練習に参加したことだ。大学の指導者に「初めて出会ったころのがむしゃらさがない」と指摘された。さらに「目指すところは高校日本一じゃないだろう、もっと上を見れば高校記録は通過点でしかない」との言葉に目が覚めた。同大で練習する高校の先輩・知念春乃(日本体育施設)や大学生たちの姿勢にも刺激を受けた。
 「悪いときこそ、突き詰めて練習しないといけないと気付いた」と本村。自分の投てきと真剣に向き合い、日誌も細かく記すようになった。そして迎えた秋季大会で「久しぶりに気持ちよく投げられた」と自己ベストを更新し、日本高校記録も視野に捉えた。笑顔と自信を取り戻し、臨む2度目の国体。「楽しむ」という軽やかな心を原動力に、誰よりも大きな放物線を描く。(大城周子)

本番を前に練習に励む、卓球の県選手ら=27日午後、東京都府中市の郷土の森総合体育館
少年女子Aハンマー投げで日本高校新記録を狙う本村夏鈴=24日、那覇西高(桑原晶子撮影)