小野十三郎賞 与那覇さん受賞 詩集「ワイドー沖縄」


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与那覇幹夫さん

 現代詩の第15回小野十三郎賞(主催・大阪文学協会)の最終選考会が27日、大阪市内で行われ、与那覇幹夫さん(73)=那覇市=の詩集「ワイドー沖縄」(あすら舎)が受賞した。県内からの受賞は第3回(2001年)の八重洋一郎さんに続き2人目。

 「ワイドー沖縄」は抑圧された沖縄の現状を描き、宮古島に生きる人々の苦悩やたくましさに肉薄した作品。選考会では「宮古島の土着性と戦後沖縄の歴史問題とが縦横に編み上げられ、シンプルで的確な言葉づかいで深い批評精神を示している」と評価された。
 与那覇氏は「リアリズムを基盤にメタファーの領域まで登り詰めた小野十三郎の名前が付く賞をもらって感激している」と語った。
 小野十三郎賞は現代詩の理論的指導者として大阪の風土を題材にした詩人・小野十三郎を記念し、詩集と詩評論を対象に作品を募集。選考委員は金時鐘、倉橋健一、小池昌代、辻井喬、坪内稔典の各氏。今年は詩集144冊・詩評論5冊が選考対象となった。
 「ワイドー沖縄」は今年、第46回小熊秀雄賞も受賞している。与那覇さんは「赤土の恋」で第7回山之口貘賞を受賞し、現在は山之口貘賞選考委員を務めている。贈呈式は11月23日、大阪市内で行われる。