雪辱 堂々の頂点 東京国体第2日


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 【東京国体取材班】第68回国民体育大会(スポーツ祭東京)第2日は29日、東京都などで各競技がスタートし、県勢は13競技に出場した。なぎなたの少年女子演技の慶留間幸音・玉那覇葉月組は、決勝で東京に3―2で競り勝ち、10年ぶり4度目の優勝を決めた。

慶留間と玉那覇は、喜田真帆と出場した同試合でも7位入賞した。空手道は成年男子組手の重量級で国吉真太郎(沖尚中職員)が3位決定戦で惜しくも敗れ、4位となった。軽量級では仲程海里(近畿大)が準々決勝で敗れ、ベスト4入りを逃した。ソフトボール少年男子の沖縄は初戦で埼玉に3―6で敗れた。サッカー成年男子は高知と対戦し、2―3で惜敗した。卓球の少年男子は0―3で山形に敗れ、初戦突破は果たせなかった。銃剣道の成年は初戦を突破した。大会第3日の県勢は剣道やゴルフに出場する。

◆なぎなた少年演技 慶留間・玉那覇組
 最後の演技を終え、慶留間幸音と玉那覇葉月はうれし涙をこらえきれなかった。インターハイ決勝で敗れていた東京に、同じ決勝の舞台で雪辱を果たし、日本一の称号をもぎ取った。
 初戦は「緊張しすぎてガチガチだった」(瀬長睦子監督)。それでも、2人は持ち前の明るさで「大きな声で、堂々とやろう」と気合を入れ直した。
 しかけの玉那覇の動きを慶留間が注意深く読み、足の指から切先にまで気持ちを集中させると、準々決勝は強豪・香川に3―2で勝利。準決勝は、九州総体2回戦で「ぼろ負けした」(玉那覇)という福岡を4―1で圧倒した。
 決勝はホームで開催された東京に分があると思われたが、インターハイの時にあと一歩で優勝を逃した悔しさがバネになった。慶留間が「課題だった」と振り返る最後に打ち返す場面も、寸分の乱れもなく、観衆を魅了した。
 高校3年生。ペアとしては最後の舞台だったが、それを有終の美で飾った。玉那覇は「最後の演技が今までで一番良かった」と、目を潤ませた。慶留間は「葉月はずっと自分を引っ張ってくれて、ありがたい存在だった」と、最高の思い出を相棒への感謝で締めくくった。
(仲本文子)

<空手道>際立つベテランの味/国吉、光る洞察力
 国吉真太郎(沖尚高付中教員)の洞察力が光った。鋭いまなざしで相手の動きを見極め、一瞬の隙を逃さず攻撃する。「頭を使ったベテランの空手ができた」と話すとおり、激しさと緻密さを兼ね備えた動きで勝利を重ねた。ナショナルチームのメンバーや強豪大学の選手が集まる成年男子組手の重量級で4位に入り、「ベスト8が目標だったので、それ以上の結果が出せた」と口元を緩めた。
 洞察力を働かせるのは試合場の中だけではなかった。対戦する相手の試合を見ながら自身が戦うときの動きをイメージし、審判が確実に取ってくれる技を見極めて試合で多用した。準決勝では相手の攻勢を受けながらも徐々に動きを合わせ、「技は決まらなかったけど惜しいものがいくつかあった」と振り返る。
 3位決定戦ではフェイントで崩してくる相手にのまれず、自身の間合いで試合を続けた。終盤は「スタミナが切れた」というが、「一つでも多く(ポイントを)取ろう」と攻撃の手を緩めなかった。
 現在は中高生への指導をしており、「練習時間は大学のころと比べものにならないほど少ない」と話す。それでも「昔の勘が残っている。稽古を積めばもっといい試合ができる」と力を込める。そして、「指導者と現役の両方で空手を続けて沖縄に恩返しをしたい」と笑顔を見せた。(平安太一)

成年男子組手・重量級3回戦 面が外れながらも蹴りを決めて一本を奪う国吉真太郎=29日、東京都の日野市市民ふれあいホール(平安太一撮影)
少年女子演技決勝 ぴたりと息の合った演技を披露し、優勝した(左から)慶留間幸音と玉那覇葉月=29日、東京都港区スポーツセンター(桑原晶子撮影)