県議会前、観光バス 摘発強化 商業への影響懸念


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 修学旅行が本格化する10月に入ると、那覇市の県議会前では観光バスが頻繁に駐停車するようになる。ピーク時には二重駐車で車線をふさぐような状況もあり、県警は7月から取り締まりを強化してきた。

バス会社や旅行業者は、停車時間を短くすることに苦心している。関係者からは、取り締まり強化による国際通り周辺への経済的影響を懸念する声や、「行政が乗降場の整備を行うべきだ」との指摘も出ている。
 修学旅行のピークは12月初旬まで続く。県バス協会は9月11日付で、乗客がそろってから添乗員の連絡を受けて配車するなど、県議会前での駐停車を短くするように促す注意文書を、沖縄本島の加盟14社と非加盟の10社に送付した。違反切符はバス運転手が切られるため、運転手も確実に人数がそろってから迎えに行くことを心掛けている。
 団体客の乗り降りがスムーズにいけば大きな問題にはならないが、待機場所が国際通り付近にないバス会社は、空港などで待機したり、人数がそろうまで近くを周回したりすることも多い。
 那覇市議会9月定例会の一般質問で屋良栄作氏(自民)は「取り締まりが徹底されれば、旅行社やバス会社は国際通りを避け、本島中部や南部の大型観光施設に流れてしまう。通り会、中心市街地にとって経済的に大打撃を被る」と訴えた。
 最近の修学旅行では県議会前で降車後、国際通りで自由時間を過ごし、モノレールで空港まで行く経路が年間200校ほどで採用されている。
 バス関係者からは「他県では観光地に待機場が整備されている。観光振興のために行政が観光バスの乗降場を整備すべきだ」との声も上がった。