憎めぬ次良 心つかむ 劇団綾船「義理の兄妹」公演


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仲良そうにする加那志(左端)と正雄(右から2人目)に嫉妬する次良(右端)=那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ

 劇団綾船はこのほど、現代歌劇「義理の兄妹」(平安山英太郎作、平良進演出)を那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで上演した。

「とまりんフェスタ2013」の一環。血のつながらない妹・加那志(伊禮門綾)の気を引こうと悪戦苦闘する次良(金城真次)が、憎めないキャラクターで観客の心をつかんだ。
 東前門の主(平良進)は、借金を抱えて身投げしようとする山木(宇座仁一)を助け、赤ん坊の加那志を預かる。やがて成長した加那志の元に絵描きの正雄(宮城茂雄)が現れ、恋仲になる。
 金城がドタバタの喜劇で引っ張る一方、平良は滋味のあるせりふ回しで安定感をもたらした。宮城演じる正雄はいたって真面目だが、ヤマトグチをしゃべるハイカラな役柄がどこかおかしい。主に組踊で活躍する宮城だが、芝居ももっと見てみたいと感じた。伊禮門は加那志の飾らない魅力を自然に表現していた。
 正雄と加那志は結婚を誓うが、実の兄妹であることが発覚する。正雄はあっさり加那志と次良に結婚を勧め、ハッピーエンドに。芝居らしいおおらかさがほほ笑ましかった。