斬新な舞台に沸く 歌たい舞うたい 結成10年、節目飾る


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フィナーレで群舞を見せる「歌たい舞うたい」の立方たち=9月23日、沖縄市民小劇場あしびなー

 中部を中心に活動する若手の琉球芸能家集団「歌たい舞うたい」の公演「歌たい舞うたい コザの街」が9月21~23日、沖縄市民小劇場あしびなーで行われた。「歌たい―」がホームグラウンドのコザで公演するのは3年ぶり。

あしびなー15周年記念事業の一環で、「歌たい―」結成10年の節目とも重なった。伝統に根差しつつ、遊び心あふれるアレンジを加えた舞踊や創作歌舞劇を披露。見る側も演じる側も「琉球芸能は楽しい」と再確認できる舞台を繰り広げた。
 21、23日の幕開けは新作の「歌たい舞うたい口説」(作詞 高宮城実人、作曲 花城英樹、振付 呉屋かなめ)。ロック調のリズミカルな三線に乗せて、威勢良くげたを踏み鳴らす。ファンへの感謝を込めた歌詞に、舞台に対する誠実な姿勢がにじんだ。阿嘉修と新垣麻里子の「柳」は、阿嘉が古典女踊を男女の打組踊にアレンジした。斬新なアイデアだが、もう少し双方の掛け合いが見たかった。「加那よー天川」は阿嘉と呉屋の名コンビが踊った。最初は阿嘉が男役、呉屋が女役だったが、途中から衣装を早変わりして入れ替わり、会場を沸かせた。
 21日の歌舞劇「歌たい舞うたいコザの街’13」(脚本・演出 嘉数道彦、音楽構成 花城英樹、振付・構成 阿嘉、呉屋)は、「スナック歌たい舞うたい」の面接にくせ者ぞろいの女たちが訪れる。阿嘉演じる和服にサングラスの県系4世、ヤギ・ジェニファー・ウシは、年齢を聞かれても「24歳から上がらない」と強気でとぼけ続ける。
 23日は「ホストクラブ歌たい舞うたい」が舞台。阿嘉は今度は震えが止まらないおじいさんホストに扮(ふん)し、芸達者ぶりを見せた。二枚目や女形のイメージが強い東江裕吉は、なぜか一人だけヤマトグチを使うホストクラブの会計、樽金役で登場。電卓を手に踊りファンを喜ばせた。笑いだけでなく「浜千鳥」などの歌や踊りもしっかり聞かせ、基盤の芸能を大切にする思いも垣間見えた。
 「舞台を見たことがない人も引き込もう」と始まった「歌たい―」。今回は発足時のメンバーより若い世代も出演した。次の10年に向け、地道な積み重ねと新たな挑戦を期待したい。その他の出演者は嘉数、花城、高宮城、宇座仁一、知花小百合、玉城匠、国場涼太、小嶺和佳子、松田香織、平良大、豊里美保、新垣礼乃、玉城和樹。
(伊佐尚記、宮城征彦)