「隠れた名盤」林明日香『ゴールデン☆ベスト』

１４曲のベスト＋さらに進化した新録音
　１０年前、１３歳での本格デビューが注目された女性のベスト。最初のレーベルに在籍した３年間の１４曲と、新録音の２曲から構成され、過去と現在が繋がる充実盤だ。

　デビュー曲『ａｋｅ－ｋａｚｅ』の神々しさは鮮烈だが、さらに力強い『花結び』や『凜の国』、より繊細な『スノウドロップ』など、かつての１４曲で表現の幅を十分堪能できる。特に、『花結び』は、ラテンのリズムで、ボーカルとギターとコーラスが情熱的に絡み合い、肌色や髪色が異なっても、輪廻のもとに「愛は続く」と歌いきる名曲。他の歌手だとＭＩＳＩＡが近いか。
　新録は新選組に登場する男女を描いた『月見草』とデビュー曲の再録音『明け風』。前者の刹那的な性愛はドキッとさせ、声だけで場の雰囲気をつくってしまう存在感はさらに進化。
　まだ２０代ゆえ今後もじっくり良作を届けてほしい。本作を聞けば、音楽は “いつ売るの？　今でしょ！”と急ぐことよりも、後世に残すことが大切だと覚醒するはず。
　（ユニバーサル・２０００円）＝つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)