2代目獅子頭 舞う 500年間で「初新調」 石垣市川平


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 【石垣】約500年前から受け継がれているとされる石垣市川平の獅子頭1対が9月26日、新調された。獅子頭を新調したという記録はなく、新しい獅子頭は約500年の歴史で「2代目」となる。川平公民館(大浜永治館長)は同日、群星御嶽で入魂式を行った後、川平農村集落センターで完成祝賀会を開き、地域住民に獅子舞をお披露目した。

 川平には、大きな箱に入った獅子頭が村の北西の海岸に流れ着いたという伝説が残っている。地域住民はその獅子頭を使い、結願祭や節祭を執り行ってきた。
 八重山の獅子舞は川平が発祥とされ、各地に広がったとされる。ほとんどの獅子舞は上顎と下顎を持って操るが、川平の獅子舞は、顎の横を持つように作られている。
 長年使用したため傷みが激しく、同公民館は2012年度の総会で新調を決定。10月の結願祭に間に合うように制作を進めていた。
 獅子頭の制作は石垣市登野城の伝統工芸士、新城弘志さん(78)が請け負った。新城さんは「初代」を採寸しながら複製するつもりで制作したという。「初代」の素材は判別が難しいものの、デイゴに近い繊維の特徴が見られることから、「2代目」もデイゴを素材にした。
 新しい獅子頭での獅子舞を見た新城さんは「歴史ある獅子頭を制作できたのは名誉なこと。言葉で言い表せないほど感激している」と話した。
 長年、地域行事で獅子舞を見てきた南風野喜作さん(82)は「新しい獅子頭を見て、今まで使っていたのも昔はこのように輝いていたのかな、と想像している。長い歴史の節目を見られた喜びはこの上ない」と話し、目を細めた。

新しい獅子頭による獅子舞=9月26日、石垣市川平農村集落センター
古い獅子頭(左)と新しい獅子頭