車いすで日本縦断の大蔵さん、旅中断 友人ら思い継ぎゴールへ


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大蔵さんの代わりに車いすを運びながら「日本縦断」の旅を続け、ゴールの波照間島を目指す八木諒平さん(右)と渡部裕美子さん=3日、那覇空港内

 骨のがんの一種「骨肉腫」と闘いながら、車いすによる日本縦断を2006年から続けている大蔵拓也さん(29)=栃木県。ことし7月に余命半年を告げられながらも挑戦を続けたが、病状が悪化し、8月に旅の中断を余儀なくされた。

 大蔵さんの意志を引き継いだ学生時代の友人らが、自転車でゴールの波照間島を目指して代走している。3日、代走者の八木諒平(りょうへい)さん(26)=新潟県=らが那覇空港に到着した。
 旅を受け継いだのは八木さんの他、3日に来県した渡部(わたなべ)裕美子さん(24)=福島県=と、八木さんの弟で9月下旬に沖縄入りした紘大(こうだい)さん(19)=新潟県=の3人。
 大蔵さんは2006年に北海道の宗谷岬を出発し、ほぼ毎年8、9月に集中して1日約40キロを車いすで走った。
 ことしは8月11日に新潟・富山の県境からスタートしたが、初日に病状が悪化し、継続を断念した。
 その後、八木さんら3人は大蔵さんからの思いを受けて、9月1日から代走の旅を始めた。2人が自転車をこぎ、もう1人が車で大蔵さんの“代わり”に車いすを運ぶ。
 八木さんは「友人の頼みだからすぐ引き受けた。(こいでいて)つらいときもあるが、本人はもっとつらいはずだ。それを想像すれば、頑張れる」と道中の心境を振り返った。
 「自分の挑戦が誰かの勇気になれば」と旅を始めた大蔵さん。2006年、最初の出発の2週間前に父を亡くした。ゴールでは父の遺骨を散骨したいという思いもあった。10日には大蔵さんの妹が波照間島で合流し、散骨する予定だ。
 旅の経過はフェイスブックページ「大蔵拓也“車いす日本縦断の旅”」やツイッター(@daizou_daisou)で追える。
(長浜良起)