地位協定 米兵処分も開示 日米が運用見直し合意


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】日米両政府は、米側に第1次裁判権がある在日米軍の軍人・軍属の公務中の犯罪について、日米地位協定の運用を見直し、新たに未確定判決や懲戒処分の有無を1カ月ごとに日本側に通知することで合意した。岸田文雄外相が8日の会見で発表した。現行制度は米側による裁判の確定判決だけを日本政府に通知する仕組みだ。

日本政府は通知内容を原則として被害者や家族に開示する。ただ開示内容は加害者が同意した範囲に限っており、どこまで開示されるかは不透明だ。
 米兵らの犯罪について地位協定17条6項(b)は、裁判権が競合する事件で処理を相互に通告することを義務付けている。だが1953年の日米合同委員会の刑事裁判管轄権に関する合意で、起訴された場合だけ確定した判決結果を米側が日本政府に通知するとされ、被害者や家族への連絡には米側の同意が必要だった。懲戒処分の場合は、日本側に通知されなかった。
 運用見直し後は、確定する前の判決や米軍による懲戒処分の内容のほか、処分しなかった場合も外務省に通知される。希望する被害者や家族には検察当局が開示する。通知制度見直しは初めてで、4日の合同委員会で合意した。来年1月1日以降の犯罪に適用する。
 岸田氏は会見で「県民の負担軽減につなげないといけない。わが国の安全保障政策、米軍再編の動きへの理解につながることを期待したい」と述べた。