県秋季高校野球、きょう決勝 沖尚―美里工


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 第63回県高校野球秋季大会は8日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行い、美里工が21年ぶり2度目、沖尚が2年連続12度目の決勝進出を決めた。第1シードの美里工は九回に決勝点を挙げ、1―0で八商工との競り合いを制した。沖尚は10安打と打線が爆発、10―0の五回コールドゲームで宜野座を圧倒した。

最終日の9日は同球場で、午前9時から3位決定戦、午後1時から決勝を行う。

◆美里工、競り勝ち勢い 九回に1点、粘り身に付けた
 両エースが投げ合いを演じ、0―0のまま迎えた九回。無死一、三塁で美里工の石新恭士のはじき返した直球が野手の間を鋭く抜け、決勝の1点を奪った。
 8安打で1得点。1点勝負の緊迫感に、走塁ミスも出た。神谷嘉宗監督は「よかったですよ、勝てて」と一息ついた。甲子園への道は平たんではない。美里工にとって、あらためてそう痛感する試合となった。
 ここまで全試合2桁安打の打線が、八商工の右腕・馬場寿希矢を打ち崩せなかった。指揮官は「粘り勝負だ。集中力の切れた方が負ける」とハッパを掛ける。最終回、花城航の右中間二塁打を足掛かりに相手のミスに乗じて好機を広げ、ようやく虎の子の1点を物にした。
 勝利の裏には、エースの献身的な力投がある。「我慢」と「丁寧」という言葉で自身の投球を振り返った伊波友和。降雨ノーゲームとなった6日は、0―0の五回、死球とボークで無死二塁の場面で中止が決まっていた。「あの時は集中が切れていた。今日はベンチでも大きな声を出さず、落ち着いて入ることを心掛けた」と、反省を生かした。
 競り合いの経験の少ないチームにとって、この一戦は大きい。百戦錬磨の指揮官も「いい経験ができた」とうなる。21年ぶりの優勝へ、美里工が一つのヤマ場を越えた。(大城周子)

◆沖尚、投打そつなく 10安打に“足攻”好機逃さず
 沖尚は足を絡めた、そつのない攻撃で走者をしっかり本塁にかえした。準々決勝で残塁が10と多かったことを反省し、「どんな形でも点を取りにいく」と確認して臨んだ試合だった。
 二回裏の攻撃2死一、三塁。一走の安里健が盗塁を仕掛けた。捕手から二塁への送球間に、三送の上原康汰が思い切りのいい走りで本塁を盗み先制点。さらに本塁への悪送球の間に安里が三塁へ進み、追加点につなげた。
 4番を打つ上原だが、四回に犠打もあった。「打順に関係なく一人一人がランナーをかえすという強い気持ちで臨んだ。それがきょうの結果につながった」と胸を張った。
 沖尚は10安打で10得点。長打はなかったが、下位まで打線がつながり、四死球や敵失で得た好機を次々と得点に結びつけた。
 「相手のミスも得点につなげられたのが良かった」。比嘉公也監督は、前回の課題をしっかり修正して勝てたことを評価した。
 マウンドではエース山城大智が、伸びのある直球と変化球でコーナーを突いて2安打に抑え、三塁を踏ませなかった。
 4試合連続の無失点で決勝に駒を進めた沖尚。赤嶺謙主将は「得点力に意識を置いて、少ないチャンスでしっかり点を取れるようにしたい」と力を込め、次も成長するチームの姿を見せるつもりだ。(宮里努)

◇きのうの結果
▽準決勝
美里工 1―0 八商工
沖尚 10―0 宜野座
  (五回コールド)

◇きょうの試合
【セルスタ】
▽3位決定戦(9時)
八商工―宜野座
▽決勝(13時)
美里工―沖尚

美里工―八商工 9回美里工無死一、三塁、決勝の中前適時打を放つ石新恭士=8日、沖縄セルラースタジアム那覇(渡慶次哲三撮影)
宜野座―沖尚 2回沖尚一、三塁、二塁への送球間に三走の上原康汰が本盗を決める=沖縄セルラースタジアム那覇(諸見里真利撮影)