戦前の那覇、模型で復元へ 10・10空襲きょう69年


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市歴史博物館学芸員の喜納大作さん

 第2次世界大戦時の1944年に那覇の街を焼け野原にした「10・10空襲」から10日で69年を迎える。那覇市は歴史を振り返り教育や観光に活用するため、空襲で焼かれる前の「昭和のなは」を模型で復元する事業を進めている。

市歴史博物館学芸員の喜納大作さん(29)は「那覇は王国時代から歴史を積み重ね、近代はレトロモダンな街並みがあった。だが空襲であっという間に消えてしまった。こんなにひどいことはない。絶対繰り返してはいけない」と力を込めた。
 喜納さんは、多くの市民にとって戦前の那覇の印象が薄いと感じていた。「10・10空襲はどのような街を破壊したのか、当時を再現したい。モダンな建築が多く赤瓦屋根も同居する情緒あふれる街並みだった。当時を再現すれば、若い人はきっと驚くと思う」と話す。
 復元模型の制作は、戦前の中心市街地だった山形屋、那覇市役所、那覇郵便局周辺、当時の上之蔵町、東町、天妃付近を予定している。模型は100分の1の寸法で、大きさは縦2メートル40、横1メートル20ほど。建物60~80棟のほか、70~90人の人形、人力車や路面電車などを配置するなど、情景描写を心掛けて再現する。復元模型は予算1614万円で、一括交付金を活用する。2014年3月に完成予定だ。完成後は市役所や歴史博物館で展示する。復元作業を進める喜納さんは、当時の写真や街の様子を知る人物からの情報提供を求めている。市歴史博物館の連絡先は(電話)098(869)5266。(関戸塩)