島野菜、糸満市が生産拡大へ 農家育成、レシピ開発


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内有数の野菜産地である糸満市は、県民に古くから親しまれてきた島野菜の生産拡大を本格化する。市は9日までに、市内の農業振興策を議論する市農業戦略産地連絡協議会内に「島ヤサイ委員会」を設置。生産者育成から安定生産体制の確立、消費者への認知度向上まで県やJAおきなわなどと連携して推進していく。

 島野菜については、県流通政策課が地域固有の野菜である全28品目を伝統的農産物として指定している。他地域でも八重瀬町のカンダバーや西原町のシマナーなど、消費拡大に向けた動きが県内全域で活発化している。
 糸満市は年度内に、県の「島ヤサイがんじゅうプロジェクト事業」を活用して市内に展示ほ場を設置する予定。手始めに消費者からの需要が高いというニガナ、ハンダマ、フーチバーの安定生産に取り組む。
 島ヤサイ委員会には市の担当者のほか、県南部農業改良普及センターやJAファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅ市場」の職員など19人が名を連ねた。
 消費者への普及拡大については、今後市の予算化も検討している。調理法があまり知られていないため、新たなレシピ開発や試食販売の強化を推進する。学校給食、ホテル、県内外の飲食店へのPR活動も進める。
 「うまんちゅ市場」の2012年度島野菜売上高は、1億5729万円に上る。県内ファーマーズマーケット9店舗の島ヤサイ総売上高のうち35・9%を占め、品ぞろえの豊富さや消費者の認知度の高さがうかがえる。
 糸満市経済観光部農政課の上原仁信課長は、栄養分が豊富とされる島野菜の健康増進効果にも期待する。「県も長寿県復活を目指して健康の向上に取り組むとしている。観光客にもPRし、普及拡大を図りたい」と力を込めた。(長嶺真輝)

糸満市が生産振興に取り組む島野菜のニガナ
糸満市が生産振興に取り組む島野菜のハンダマ
糸満市が生産振興に取り組む島野菜のフーチバー