担い手減に危機感 宮古島平良西原、伝統祭祀シンポ


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ナナムイの継承について話し合う出席者ら=9月29日、宮古島市の西原地区公民館

 【宮古島】宮古島市平良西原で続く伝統祭祀(さいし)について考えるシンポジウムが9月29日、西原地区公民館で行われた。祭祀ナナムイを担う女性(ナナムインマ)のなり手が減少していることに、参加者からは「このままナナムイが続けていけるかの瀬戸際だ」と懸念の声が上がった。

 ナナムイは西原地域の御嶽がある「七つの森」を指す。ナナムインマは40~50代の女性が対象で、ナナムイに入ってからの10年間、地域の神事に携わる。その数は年間50余に上るという。だが人口減や共働き世帯の増加を背景に、ナナムインマになる女性が減り、定員は5人だが今は2人で神事を続けている。
 シンポは市平良西原出身の写真家・長崎健一さん(31)の写真展「沖縄宮古島~西原~ニヌハンマティダ」の一環。ナナムイを撮った写真家の比嘉豊光、長崎両氏のほか、現役のナナムインマや経験者ら計6人が登壇し、意見を述べた。
 約15年前にナナムイを撮影した比嘉さんは「僕が撮ったころは30から40人いた。今回、長崎氏が撮った写真を見るとだいぶ人が減った」と話す。西原のほか、同じく「池間民族」と呼ばれる池間島と佐良浜でも担い手が減り、神事を休んでいる所もあるという。
 経験者の赤嶺和子さん(65)は「先輩は後輩の面倒を見て細かい指導もしてくれる。膝を交えて酒を飲めば兄弟のようなつながりが持てる。神歌の意味が分かると、西原はこんなにいい所なんだと感動が生まれる」と強調。長崎さんは「これまでお年寄りたちと若い人の祭祀の接点がなさ過ぎたと思う。写真を通して橋渡しができればと思う」と語った。