10・10空襲69年 遺族らが恒久平和祈る


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戦没者の冥福を祈り焼香する参列者=10日、那覇市若狭海浜公園内のなぐやけの碑前

 「10・10空襲」から69年を迎えた10日、那覇市若狭海浜公園内のなぐやけの碑前で「第18回なぐやけの碑慰霊祭」が開かれた。碑には10・10空襲の犠牲者を含む那覇市出身の沖縄戦戦没者2万9千人余がまつられている。

参列した遺族ら約120人は戦没者の冥福と恒久平和を祈り、黙とうをささげた。
 那覇市連合遺族会の大嶺正光会長は「今も地中には戦争の負の遺産である不発弾が埋まり、遺骨が山野に眠っている。私たちには戦争の愚かさや悲惨さ、命の尊厳を絶えず子や孫に伝えていく責務がある。戦争につながる全てを許してはいけない」とあいさつした。
 参列した久高唯宗さん(78)は、10・10空襲で父の唯道さん(当時40代)を亡くした。父以外の家族は当時、熊本に疎開していた。「父の遺骨も遺品も何も手元にない。私は幼かったので父の記憶も薄い。きょうは父に『こんなに大きくなりました』と伝えたい」と語った。
 10・10空襲を経験した稲福富美子さん(79)は「あの日のことは鮮明に覚えている。火の粉が舞う那覇の町で、多くの遺体を見た。慰霊祭の最中に飛んで来た米軍機の音で、当時のことをまた思い出した。戦争は二度と起こってほしくない」と力を込めた。
 慰霊祭の途中、在沖米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが重低音を響かせ上空を飛び、読経や弔辞の声をかき消す場面もあった。
英文へ→Memorial Service for 10.10 Air Raid held