早く気付いて性虐待の兆候 山田医師「子ども優先の視点を」


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 「子ども虐待を見逃さないために 性虐待の事例から見る気づきのヒントと対応」(県主催、NPO法人おきなわCAPセンター共催)をテーマにした講演会が8日、浦添市産業振興センター結の街で開かれた。

子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク理事長で医師の山田不二子さんが講演し、性虐待を受けている可能性を示す兆候の見つけ方や、子どもの人権を最優先にした支援の在り方を助言した。被害者への司法面接やカウンセリングなどを実施する「子どもの権利擁護センター」設置も提案した。
 講演会は県児童虐待防止推進事業の一環で開かれ、県の児童相談所、児童養護施設、保健所の職員や医療関係者ら約160人が参加した。
 山田さんは、国連人権委員会が日本に対して、性暴力加害者への量刑の軽さ、被害者が抵抗した証拠がなければ性的暴行として認めない、被害者支援の不十分さなどを課題として是正勧告したものの「日本政府は無視している」と批判し、改善の必要を説いた。
 世界規模の研究では、公的機関に訴え表面化したケースだけで「女性の20%、男性の5~10%が子どものころ性虐待を受けたという報告がある」と説明した。
 加害者の性別や年齢、経済状況や地位に傾向はないと語った上で「性的な接触だけではなく、裸体を撮影したり、性的な刺激物を見せたりする行為も性虐待に該当する」と指摘した。
 家族の一員による性虐待は表面化しにくく「子どもが家庭崩壊を心配し、虐待の有無を尋ねられても否認し、順応させられる事例が多い」語った。性虐待を独りで抱えたまま成長すると、解離性障害、心的外傷後ストレス障害、薬物依存症など深刻な状態に陥る可能性があると警鐘を鳴らした。
 性虐待発生を受けて、事実確認をする司法面接は、子ども第一の視点で、児童相談所、警察、医療機関などが連携し、トラウマ(心的外傷)を最小限に抑えるために事情聴取を1回のみとし、誘導的質問は避けて中立的に問い掛けるなどの対応が重要とした。

「子ども虐待を見逃さないために」をテーマに、性虐待の見つけ方、被害を受けた子どもを最優先にした支援の在り方を学んだ講演会=8日、浦添市産業振興センター結の街
山田不二子さん