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ハワイ移民の両親の下に生まれながら日本軍と米軍に分かれて沖縄戦に従軍した兄弟がいる。兄の儀間真栄さん(88)は米軍通訳兵として、5歳の時に沖縄の祖父母に預けられた弟の昇さん(86)は鉄血勤皇隊として沖縄戦を体験した。
兄弟の体験は県平和祈念資料館で10日始まった特別企画展で紹介されている。開会式に参加した昇さんは「兄弟で敵味方に分かれるというのは、戦争が引き起こした悲劇だった。だからこそ二度と戦争が起きないよう努力することが大切だ」と訴えた。
昇さんは沖縄戦時、兄が沖縄に来ていることを知らないまま、日本軍の部隊と共に那覇市天久の激戦地で戦闘に参加していた。米軍の侵攻が激しくなるにつれ、昇さんらは帰宅を指示され、沖縄本島南部に向かう途中で捕虜になった。真栄さんは本島北部で日本軍のゲリラを追跡する部隊に同行し、終戦後は休暇を利用して昇さんや祖母を探し回った。
真栄さんはある収容所で捕虜の年齢や出身地が記された捕虜の登録カードを調べていると、昇さんの写真を見つけた。「これは私の弟だ。今どこにいる」。係員に尋ね、昇さんがハワイの収容所にいることを知った。
昇さんはハワイの収容所で初めて兄が沖縄戦に参加していたことを知った。兄弟はハワイで再開を果たし、無事を喜び合った。昇さんが5歳で来県してから十数年ぶりの再会だった。
戦後、真栄さんはハワイで生活を続け、昇さんは沖縄に戻り現在は宜野湾市で暮らしている。昇さんは2年に1度ほど、ハワイの真栄さんを訪ねている。「戦争時、兄は私のことを心配し、探してくれた。兄弟で敵味方に分かれていたが、憎しみなどなかった。悲劇を経験した私たちが、戦争のない世界を築くために何かの力になれればと思う」と平和を願った。