夢はFC琉球世界一 平安山さんブラジルでコーチ修業


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ブラジルでのコーチ修業を前に自主練習、ボールを蹴る平安山良太さん=名護市の21世紀の森ラグビー場

 サッカーのコーチとして修業を積むため、名護市出身の23歳、平安山良太さんが今月、ブラジルへ渡った。プロ1部リーグの2チームに当面身を置いて、常に世界のトップを争う強豪国の指導方法を身に付けたいと意気込んでいる。夢は「FC琉球を世界一にすること」だ。

 小学4年のころサッカーを始め、プロ選手になりたいと思っていた。しかし中学に上がるころ、右膝を故障。プレーは続けたが、一時は膝の負担が少ない競技に移ったこともあった。
 高校2年のころ「選手を続けるのが無理なら、指導者として沖縄に貢献したい」と思うようになった。コーチ方法の本を読んだり、FC琉球ヘッドコーチ(当時)の新里裕之氏の元を訪ね、教えを請うなどした。
 中京大体育科学科の在籍中、サッカー部を指導していたJ2水戸ホーリーホックの現ヘッドコーチ西ヶ谷隆之氏やジェフユナイテッド千葉元コーチの澤入重雄氏らの元でアシスタントコーチを経験。2度の全国準優勝に関わるなどした。
 今春大学を卒業した後、5月にカンボジア、6月にはラオスへ行き、元Jリーグ監督らが指導する現場で精力的に学んだ。国内のプロチームからコーチとしての誘いもあったが、将来を見据えブラジルに行くことを選んだ。
 沖縄へのこだわりもある。学生時代に見た周りに比べ、身近に大きな夢を語る人が少ないと感じる。「沖縄の人を元気にしたい」。その思いを好きなサッカーに託す。
 研修は無給に近いが、「練習の中に入る」ということを唯一の条件に出した。プロ1部リーグのアトレチコ・パラナエンセとコリチーバFCで3カ月、選手と同じフィールドに身を置く。「認めてもらえれば契約の話があるかもしれない」。数年は滞在して強さの理由を肌で感じ、自らのものにしたいと考えている。
 ワールドカップに出場する選手を自分の手で育てたいという。「W杯に沖縄の選手が一人でも出れば、県民も喜ぶ。それが地元チームの選手だったらなおいい」。平たんな道のりでないことは分かっているが、しっかりと一歩踏み出した。(宮里 努)