「奥武方言」後世に 住民調査し6000語彙収集


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シマの方言聞き取り調査に取り組む編集委員の(前列右から)中本准教授、中村委員長、嶺井副委員長=南城市玉城奥武区公民館

 【南城】島で昔から使われている「奥武方言」を整理して後世に残そうと、南城市玉城の奥武島で区民から聞き取り調査を実施、アイウエオ順に6千余の語彙(ごい)収集を終え、注目されている。

元高校校長の中村一男さん(67)を委員長に区長、有志7人と方言話者8人を相談役に2012年4月に「奥武方言」編集委員会を立ち上げた。
 委員に、琉球方言研究で知られる琉球大学准教授で地元出身の中本謙さん(43)、同大学院を修了した呉屋孝治さん(30)と座安浩史さん(26)の若い専門委員3人を加え取り組まれている。
 聞き取りは主に地元の委員が随時行い、調査の進み具合を見て専門委員を含めた合同委員会が開かれている。編集作業として語彙の収集、共通語への訳と用例を挙げ天候、動植物、人体、衣食住、民族、人間関係、農漁業など全般に及ぶ。
 9月21日には地元から委員長の中村さん、副委員長の嶺井勇盛さん(81)、元区長の安次富政常さん(63)と専門委員3人が参加して奥武区公民館で午前9時から委員会が開かれた。
 この日はこれまで収集した資料や今後の日程について話し合われた。より正確なものに仕上げるため年月をかけてじっくり取り組んでいくことにしている。
 中村委員長は「ゴキブリを普通『ヒーラー』と呼ぶのを『コーシャ』と呼ぶなど奥武島には独特な方言があり、先生方に発音表記をまとめてもらうことにしている」と語った。
 中本准教授は「市町村単位でしまくとぅばの聞き取り調査はあるが、一つの集落で組織をつくって本格的に住民から直接聞く収集作業は珍しい」と完成に期待を寄せている。(知花幸栄通信員)