竹富・教科書 きょうにも是正要求 文科相、県に指示へ


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 下村博文文部科学相は17日、沖縄県八重山地方の採択地区協議会が選んだ育鵬社版の中学公民教科書を拒否して別の教科書を使っている竹富町教育委員会が教科書無償措置法に違反しているとして是正を要求するよう県教委に18日にも指示する方針を決めた。地方自治法に基づき、教育行政に関して是正要求を発動するのは初めて。

 竹富町は一貫して違法性を否定しており、要求に従わなくても罰則はないため、町が方針転換する見通しは立っていない。保守色が強い育鵬社版は、沖縄の米軍基地負担にあまり触れていないなどとして県内で抵抗があるとされる。
 文科省は、全国の学校で来春に必要な教科書数がまとまる9月中旬、協議会で決めた教科書にして報告するよう県教委を通じて竹富町に指導したが対応を変えなかったため、より強い権限を行使することにした。
 八重山地方の協議会は石垣市、竹富町、与那国町で組織される。

<用語>是正要求
 地方自治体などの事務処理に法令違反があるときや、明らかに公益を害していると認められる場合に、国が是正を求める制度。地方自治法で定められている。自治体側は、改善措置を取る法的義務を負うが、従わなくても罰則はない。過去には、総務相が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への接続を拒んだ東京都国立市、福島県矢祭町に出した例がある。地方教育行政法も、文部科学相が教育委員会に是正要求できるとしているが、児童生徒の教育を受ける機会が侵害されていることが明らかな場合に限られている。