高江に希少チョウ群 専門家、ヘリパッドの影響懸念


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 【東】東村高江のヘリパッド建設予定地N1地区付近の林道でことし9月、環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている沖縄県固有種のチョウ「リュウキュウウラナミジャノメ」約30匹がまとまって生息している様子を専門家が初めて確認した。

同種はこれまでも高江で観察されていたが、今回の発見で他の場所よりも極めて多く生息することが分かった。
 多数の個体を確認した日本鱗翅(りんし)学会自然保護委員の宮城秋乃さんによると、9月15日に約30匹の雄の個体を確認。羽の状態などから、数日内に一斉に羽化したものとみられる。うるま市石川以北と慶良間諸島に分布しているが、今回のようにまとまって観察できる場所は少ない。
 また東村の新川川沿いでは、チョウ愛好家の山本卓司さんが環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている「リュウキュウウラボシシジミ」を10月2日と19日にそれぞれ約10匹確認した。山本さんは「個体数が減っており、高密度で観察できる場所は少ない」と話した。
 宮城さんは「ヘリパッド建設などによる環境の変化が個体群にダメージを及ぼす可能性がある。希少種だけでなく、他の生物種にも影響する」と工事に警鐘を鳴らした。(田吹遥子)

高江で群体が確認された準絶滅危惧種の「リュウキュウウラナミジャノメ」=9月15日、東村高江のヘリパッド建設予定地N1付近の林道(宮城秋乃さん提供)
求愛行動をする準絶滅危惧種の「リュウキュウウラボシシジミ」=19日、東村の新川川流域(山本卓司さん提供)